ミルウォーキー・アット・ラスト! [DVD]
2009年9月リリースの同タイトルの廉価盤。
これまでルーファスのライヴの模様がDVD化されることがあっても、ドキュメンタリーとともに数曲単位であったり、ジュディ・ガーランドのライヴをカヴァーしたライヴであったりしました。オリジナル曲で構成されたライヴDVDがリリースされるのは、今回が初めてです。
来日公演の模様とほとんど変わらないセットリストが、舞台裏の映像を挟みながら、展開されていきます。練りに練られた構成のもと、彼の音楽と美意識とが貫かれ、パフォーマーとしての力量を示すライヴになっていると思います。舞台裏の映像が差し挟まれるのは余計なことのように思いますが、しかし、そのおかげで、特典映像なしのすっきりとした作品になっています。
ただし、残念なことがひとつ。アンコール後、「ゲット・ハッピー」でエンターテインメントの演出としてルーファスとバンドとが扮装とダンスをして口パクをするのですが、ここはぼくは東京で見た時に口パクに対しては完全に失望しました。ルーファスほどのアーティストは、どんな理由・目的があっても、ライヴで口パクをしてはいけませんよ。誤解を招きます。
MUSIC MAGAZINE ( ミュージックマガジン ) 2010年 10月号
堀込兄弟はもともと説明がうまいので、インタビューが非常に面白かったです。
時代を遡ってみたときに、当時の時代背景や流行していた音楽の傾向、
自分たちの客観的立場から気分まで、お二人とも事細かに憶えていて、
楽曲をどのようにつくっていったか、それがどのように受け入れられていたかを的確に分析しています。
このインタビューが面白いと感じたなら『自棄っぱちオプティミスト』もおすすめ。
さらに詳しい話が読めますよ。
逆に『自棄っぱち・・・』をすでに読んでいる方も読んで損はしないと思います。
ただ、残念だったのが「アルバムガイド」以降の記事です。
きちんと書いているライターさんもいるのですが、うわべだけのレビューが多くて不快でした。
ライターの個人的な趣向はプラスに、はたらくこともありますが、
客観性を完全に失い、偏愛ばかりを全面に出した文章はミュージシャンを軽く扱っているようにしか見えません。
他ページのCDレビューも同様でした。特集ならなおのこと。しっかり書いてほしいです。
インタビューはよかったので☆4つです。
シュレック ― オリジナル・サウンドトラック
大ヒットとなったスーパーアニメムービー「Shrek」。もう
平面アニメを見る気にならなくなるほど素晴らしい映像だが、曲の方も楽しい
感じになっている。
きれいなバラードと明るいポップといった感じのアルバム。バックストリート
ボーイズのニック・カーターの妹レスリーが参加しているのが注目どころ。
エディ・マーフィーも歌っている。
映画のエンドクレジットに流れた曲をそのまま録ったような作品で、子供も
大人も楽しめる。
ミルウォーキー・アット・ラスト! [DVD]
このライブDVDは、「リリース・ザ・スターズ」のひとつとして行われた合衆国中西部ミルウォーキーでの公演を収めたもの。ちなみに、昨年日本でも行われたライブとほぼ同内容の趣。
同内容でDVDより若干曲数が少ないCDも同時リリース。
監督、撮影はアルバート・メイスルズ。あのローリング・ストーンズの「ギミ・シェルター」などを撮った人物で、今年でなんと83歳(!)になるという。
ストップ・モーションを活用し、ルーファスのみならず、オーディエンスの表情を捉えたカメラは、さらにバック・ステージへと入り込み、メンバーの面々の素顔に迫っていく。
以前、紹介した故ジュディ・ガーランドが1961年に行った公演を再現した「rufus! rufus! Rufus! does judy! judy! judy! live from the London palladium」では、あまり感じられなかった ルーファスのゲイとしての側面が(筆者には、むせ返るほどに)前面に出ているのも見もの。
何せ、恋人のボーイ・フレンドが現れ、ステージ上で、バック・ステージで、濃厚なキスを交わすのだから。
肝心のライブは、ホーン・セクションの3人を含む、7人のメンツを従え、豪華祝欄に繰り広げられる。
「リリース・ザ・スターズ」の楽曲はもちろんのこと、ジュディ・ガーランド関連のレビュー、そして母親のケイト・マクギャリグルに教わったというアイリッシュ・トラッドをマイクを使わず歌ったり、途中、観客を舞台に上げたりと、サービス満点の内容であるが,本公演のハイライトは、なんと言っても、アンコールにある。
たった今シャワーを浴びてきたばかりと言わんばかりの白いバスローブ姿で登場し、2曲歌った後、観客に正面を向き合って座り、イヤリング、指輪、そして口紅をつけ、ハット、タキシード、タイツの全身黒ずくめの「ジュディ・ガーランド」に変身しての「get happy」は抱腹絶倒の面白さ。
バック・バンドの面々も、ミュージカル風パフォーマンスで、華を添える。
そして、その姿のまま、ギターを抱えて歌うラスト・ナンバー「ゲイ・ミサイヤ」(ゲイの救世主の意)では、神々しさすら感じさせ感動的である。
以前から、オペラへ傾倒しているというルーファスは、このツアー後、オリジナルのオペラを作曲し、今年既に、上演を果たしているという。
この偉大なアーティストは、すでに次なるステージに進んでいる。
ルーファス・ウェインライト
甘美さと残酷さ、それをイヤと言うほど見てきた経験値。 見られること、楽しませることに対する自己演出の厳しさ。
それらが生んだ強い声。 だれにぶつけても勝ってしまう声。
あまりの完成度の高さに、芸術家気質の気難しい人なのではないか・・・と思っていたのですが、映像で見ると、少しナルが入ってて、バーのママさんみたいに気さくで、とてもチャーミングです。ライブも見てみたい。