河童少女―エンコウショウジョ (ぶんか社コミックス)
明智抄「らしい」とは何を意味するのかは人により異なると思う。
『サンプル・キティ』や『砂漠に吹く風』では「それでも、生きていていいんだよ!」という想いが満ちるものであったが、今回は多少違いがある。「生きること、死ぬこと。死んでもなお残るもの」それらの色々な形を垣間見せる作品であると思った。
しかし、これとは別にあらわれる「らしさ」とはやはり不条理な理屈や強引な展開を歯牙にもかけない明智ワールドなのである。
前述の過去作品の他にも、『キャプテン・コズミック』などが好きな人には、きっと期待を裏切らない作品となっていると思う。
鳥類悲願始末人 (ソノラマコミック文庫―始末人シリーズ)
絶版状態だった始末人シリーズが文庫化しました。その第2巻です。
「鳥類悲願始末人」「新装転職始末人」「心美体健始末人」「風雅風韻始末人」「明智くんのおともだち」「お烏さま」が収録されています。
「お鳥さま」は単行本初収録作品)で、ものすごくホラー色が強くて、いつものより怖いです。心して読んで下さい。
明朗健全始末人 (ソノラマコミック文庫―始末人シリーズ)
ひとの恨みを晴らす現代版始末人の話だが、設定や展開が完全にシュールだ。まるでダウンタウン松本人志のコントを見ているよう。初出が1983年なので明智の先見性がうかがわれよう。掲載誌が『花とゆめ』とはいえ、よくも当時の読者がこんなへんてこりんな少女漫画を受け入れたものだと思う。
ことあるごとにひとに薦めてきたこのシリーズ、ながらく絶版で入手困難であったが、待望の文庫化。癒し系ブームに釘を刺す一服の猛毒、ぜひご賞味あれ。