悪魔のいけにえ [Blu-ray]
私はスプラッター映画が苦手だ。
しかし、世界最凶のホラーというキャッチコピーがビデオ屋で私の手を動かした。
学生寮で夕方(怖いから)一人で鑑賞したのを今も鮮明に覚えている。
舞台は1975年のアメリカ、テキサス州の田舎。まったく共感を持てない若者達が恐怖の殺人一家と未知との遭遇をする悪夢の不条理物語。
よくある話だ。そんなよくある話の基盤的作品という事で名作ともてはやされているのだけで中身は案外怖くないだろうと思って鑑賞をしていた。
そして数十分後、鳴り止む事のないチェーンソーの音と叫び声が部屋を包み込んだ時その考えは浅はかだったと思い知った。
今から30年以上前の映画だというのに古さよりも新鮮さが感じられる。
古い映画なだけに画質があまり綺麗ではない。しかしコレがドキュメンタリーを見ているかのような気持ちにさせてしまうので逆に効果的であったり、ホラー映画のくせに昼間のシーンが多い。つまり昼も夜もこのホラー映画にはまったく関係がない。
この映画は確かにスプラッターなのだがあまりグロテスクなシーンを見せないように描かれている。がしかし、これが返って想像力を掻き立てる。
この映画は痛いシーンを見せて怖がらせようとしている単純なホラー映画ではない。
こうした見ている者をも精神的に追い込む工夫が随所に用意されている。
84分という短い上映時間にも関わらず見終わった後、手に汗を握りながらぐったりしていた。
外の夕焼けを見つめながら、映画のクライマックスをもう一度思い出す。
静けさを取り戻した男子寮だったが私の頭の中にはあのチェーンソーの音が鳴り止む事なく唸り続けていた。
悪魔のいけにえ スペシャル・エディション コンプリートBOX(3枚組) [DVD]
70年代ペーストまみれのダサダサの邦題「悪魔のいけにえ」がついに再販されますね。多くの映画ファンが待ち望んだ作品です。
内容はもうわかりきっていることなんですが、今現在量産され続けている「ホラー映画」はすべてこの作品の流れを汲んでいるといっても過言ではありません。この作品を境に「ホラー映画」はその流れが変りました。
最近の特撮やCGでの凄まじいまでの人体破壊描写がてんこ盛りの最近の作品に比べたら、確かに全然血は出ないし、直接的な過激な映像はないのですが、この作品の怖さは次元が違います。とても映画とは思えないのです。事実を見せ付けられているような生々しさがこの映画の怖さだと思います。
最初の犠牲者が出る扉の「ドーン」という開け閉めの音がいまだに脳裏に暗いつくほどインパクトは絶大でした。
なのでちょっと精神的に弱い方は正直見ないほうがいいと思います。精神的トラウマになりかねない映画ですので。
ポイントはこの映画にはある意味どこにでもいる普通の人間(特殊能力を持っているかという意味です)しか出てきません。そこに怖さの根本があります。
一番怖いのは人間ですから。
悪魔のいけにえ2 [DVD]
劇場で観て以来のファンです。LD買って、通常版DVDも買って、今回は待望の特典付き完全版リリース!ってことで、また買ってしまった。
今回収録されたコメンタリは、トビー・フーパー監督のよりも、トム・サビーニ達のバージョンが面白かった。当時の思い出話もいっぱいで、笑えるトリビア満載だし、ワイワイガヤガヤな雰囲気が楽しい。
悪魔のいけにえ2+スペース・バンパイア(初回生産限定) [DVD]
なんと素敵なセットだろう!トビー・フーパーのトンデモ大傑作が2本!どちらも自分のオールタイムベストにしたいぐらい大好き!というわけで、常に持ち歩くか、非常用のバッグに入れておきたいものだが・・・(以下略)
まず「いけにえ2」だが、こちらはホラーの金字塔となった1作目とはうってかわってコメディのような仕上がりに。だが、トム・サヴィーニの特殊メイクだったり、チョップトップ役のビル・モーズリィーやキチガイ保安官役のデニス・ホッパーさんの凄まじい演技だったり、ラストのチェーンソー対決だったりと語られるべきところも多く、このアナーキーさでいまだに多くの根強いファンがいる。
「スペース・バンパイア」だが、この映画もマチルダ・メイの全裸やその他もろもろで最高に面白い。特におっさん同士でキスしたり、ケツから青い炎が噴き出るところが!
悪魔のいけにえ スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
全米で実在した猟奇殺人鬼エド・ゲインをモデルに製作されたホラー映画史上“空前絶後の最恐映画”。本当にこんな恐怖映画、観たことがない。登場人物への感情移入を一切排した一見ドキュメントと見間違うタッチで16mmでブロー・アップされたざらついたフィルムに刻まれたこの映画の持つ底知れぬ恐怖と緊迫感は、掛け値なしに尋常ではない。キューブリックの「時計じかけのオレンジ」が、管理社会への警鐘を鳴らしながらも、反社会的で暴力とセックスへの悪魔的快楽に酔ってしまう危なさと魅力に満ち溢れていた様に、観る者を心理的に追い込みながらも、いつの間にか、その極めつけの狂気と異常が醸し出す悪夢の世界に釘付けにさせてしまうドラック的な魅力を持った傑作。他のレビュアー諸氏が皆昂揚し、絶賛している気持ちが良く分かる(笑)。何せ、レザー・フェイスが登場する前の冒頭の15分間からして、何とも言えぬ異様な不安感に陥れるムードが充満しているのが凄い。監督は、この1本のみで生涯語り継がれる存在となったトビー・フーパー。ニューヨーク近代美術館にも収蔵されていると言う今作、昨今の過剰なスプラッター、コケオドシ、残虐な殺人描写のみセンセーショナルな凡百なホラーしか観たことがない方こそ観て欲しい。本当の恐怖映画の醍醐味が体感できる。