PARALYSED BOX/LIVE at CLUB CITTA’ [DVD]
収録曲情報が違う。これは1st albumのVary(2003)収録曲だ。
正しくは以下の通り。
Paralysed Box(2008)
01.n0ise
02.Hang Veil
interview A
off shot in Sweden & Los Angeles
03.Chain
04.Cray Life
interview B
off shot in Beijing
05.Sacrificed
interview C
off shot in Australia
06.Labyrinth
interview D
off shot in Taiwan
07.non title
08.I will Stay
"Chain-acoustic version"PV
total:72min.
2008年7月13日(日)にクラブチッタ川崎で開催された、
「ADDICT XX」でトリをつとめたときの映像である。
"non title"は、後に"Sixoneight"として登場することになる曲。
この日が初演だった。オーストラリア滞在中に書かれたという。
当日はもっと演奏されていたが、色々と事情があったのだろう。
曲目を削った分、インタビューや海外公演のオフショット、
そして"Chain-acoustic version-"のPVが収録されている。
全体の7割がライヴ、その他が3割、といった時間配分である。
肝心の内容だが、HPPの「狂った」「美しい」パフォーマンスが堪能できる。
合間に「その他」映像が入ってライヴが途切れてしまうのが、惜しい。
(ただ、ビデオ時代と違ってスキップすればいいだけのことではある)
CD以上に音が良く、彼らが鳴らしたい音の「重さ」が如何ほどのものか、
そして曲の「つなぎ」に止まらないセッションがどれほど表現力豊かか、
いや、何より、曲に同化して激しくも繊細なパフォーマンスを展開する、
HPPという特異なヘヴィ・ロック・バンドの存在というものが、
このDVDを見れば、いやというほどわかるだろう。
なお、この時期はまだBatch(dr)は正式メンバーではなかったので、
ジャケにも登場せず、インタビューも別枠である。
Mar(g)が脱退した今となっては、「5人編成時代の貴重な映像」でもある。
CDやPVで興味を持ったという方や、
類型的なライヴ・パフォーマンスに飽きてきた方々に薦めたい。
プローディギウム
初めてHPPのCDを買ったが、非常に気に入った。
音質に関しても個人的には特に聴き苦しい点などは無く、非常に生々しい音で臨場感もあり、聴いていて気持ちいい。
ANZAのヴォーカルは時に激しく、時に妖しい呪文のようである。
へヴィでブルータルでありながらもその中に独特な美しさがある。
音はもちろんだが、世界観や雰囲気もへヴィで、ANZAのヴォーカルにも癖があるので好みは分かれるだろうが、中毒性が高く一度はまってしまうと病みつきになってしまうだろう。
DIR EN GREYやKORN(初期)が好きな人は聴いてみてはいかがだろうか。
個人的には「Divinity」から「Reality」の流れに鳥肌が立った。
Stand In The World
日本のヘヴィロックバンド、HEAD PHONES PRESIDENTの3rdフルアルバム。
フルアルバムとしては意外にも3枚目ということに驚いた。
肝心の内容は、文句なしの高水準と言えるだろう。
アルバムを通して大きな意志を感じた。4人になってもバンドを続けると決め、世界に立つと覚悟を決めた決意表明ということだろうか。
リードトラック「Stand In The World」をオフィシャルの試聴で聴いたときに思ったのは、前ミニアルバム「PRODIGIUM」に収録されていた、「Reality」の路線をさらに突き詰め、その世界観を広げたものなのかなということだった。
なぜそう思ったかと言うと、「Reality」ではそれ以前のHPPにはあまりなかったメタル色の強い楽曲で、ギターソロも聴けるなど、いわゆるヘヴィロック然としたアプローチとはまた別の方向性を打ち出したからだ。
そして今作ではそのギターソロがアルバム全体を通してフィーチャーされている。
今までの作品よりも更にへヴィになっているのだが、ギターソロが入ることで曲に彩りを与えていると思った。
今まではモノクロの世界でどんよりとしていた印象の強いHPPだが、今作は、MVを見ても分かる通りとても鮮やかである。
今までのこもっていた世界観が一気にはじけ、ものすごく壮大な世界が広がっている。
そう、物凄くスケールの大きい作品に仕上がっているのだ。
しかし、本来HPPが持っていたあの狂気は全く失われていない。
むしろスケールが広がり、色彩が鮮やかになったことでその狂気がよりハッキリ感じ取れるようになったとも言える。
鮮やかなんだけど、どこか不穏な空気感が漂っている。
古くからのHPPファンはもちろん、これからHPPの世界を体験する方にも是非お勧めしたい渾身の一枚だろう。
彼らの決意表明に耳を澄ませて欲しい。
既にiTunesで入手している方も是非CDを買うことをお勧めします。CDには歌詞の対訳が付いているので。
DELIRIUM [DVD]
HEAD PHONES PRESIDENTの3枚目のDVD。
ツインギターチームの弟、Marが脱退して初の音源/映像作品でもある。
しかしリリースにこぎつけるまで様々なトラブルに見舞われ、
お蔵入りする寸前の状態からなんとか世に出すことができる作品になった。
トラブルとは本編となるDisc2をご覧になっていただければすぐにでもわかると思うが、サウンド面。
一言で言えば音が録れてなかったのだ。
そこでエア(空間)の音を拾ったものが採用されたのだが、これが実に生々しい音になっている。
最近のライヴ音源と言うと臨場感を削いでしまうほどにクリーンでクリアなものが主流のような気がするが
この作品は良くも悪くも臨場感はたっぷり。
しかしこのラフ過ぎるほどの音像はバンドの攻撃性をスポイルすることなく、
美しくも荒々しい映像とともに新しい体制になったHPPの姿を描ききっている。
そして肝心のバンドのパフォーマンスだが、メンバー全員がMarが抜けた穴を補完するべく一致団結、
アレンジや見せ方を数カ月の間、試行錯誤しながらも変化させた結果、
ギター一本いなくなったことを感じさせないような・・・
というよりむしろ既に5人時代のバンドよりソリッドになるまでのレベルに至ったと思う。
特にNarumi(ベース)とBatch(ドラム)のリズム隊の貢献が著しく、
ともすれば薄っぺらくなりかねないボトムを重厚感たっぷりに支え、時には前に出てメロディを奏でる部分も。
そんなリズム隊に支えられてHiroのギターは自由奔放に泳ぎ回り、
HPPの世界そのものであるAnzaは狂気の狭間に神々しさすら纏い空間を支配していく・・・。
スタジオライヴを収めたDisc1も生々しいながらも音質は良好。
普段着でリラックスした感じから始まるInside、Crumbledはアコースティックヴァージョン。
(アコースティック・アルバムPobl Lliwに未収録のCrumbledは、昨年行われたアコースティックライヴに来られなかった人のために収録されたそう)
カジュアルなスタイルのままの彼らを見るのはなかなか興味深い・・・などと思うのもつかの間、
曲を追うごとに「いつもの彼ら」になっていく様子が克明に刻まれていて、
特にLie Waste〜Folie A Deuxの鬼気迫る様はとても安穏として見ていられるようなレベルのものではない・・・。
フランスのJAPAN EXPO SUDでの模様はオフショット的なものとして楽しめると同時に
かの地でいかに彼らのライヴが好評を博したかも映し出している。
メンバーの脱退、録音トラブルなど様々な障害に見舞われながらも
結果としてアイディア次第で十分過ぎるクオリティまで持っていくことができるという、HEAD PHONES PRESIDENTというバンドの底力を示す作品になった。