風雲将棋谷 (春陽文庫)
~今や忘れ去られようとしているが、昭和初期の大衆文学を語る上で外せない人気作家だったのが角田喜久男であり、この「風雲将棋谷」は同じ作者の「髑髏銭」と並んで、間違いなく、伝奇時代小説として、金字塔ともいうべき大傑作。絢爛たる物語の見事さ。登場人物のあでやかさ。読み出したら止まらない面白さは、私が読んできた5000冊以上の小説のなかでも、随一~~。ぜひ復刻して欲しい本の一つだ。~
髑髏銭 (春陽文庫)
角田喜久雄(つのだきくお)は、1906年(明治39年)生まれ。
代表的な伝奇小説作家である。
本作は読売新聞に連載された。
まずこの小説を通常に評価すると、
・登場人物の性格付けが類型的である。
・偶然が多すぎる。
・無駄な修飾が多い。
・髑髏銭の謎解きがもっと長くないと成立していない。
・張った伏線の回収に失敗している。
など様々あるが、そんなことは、実は「どうでもいいのである」
この小説を新聞連載で読み始めた人は明日が来るのが待ちどうしくてしょうがなかったろう。
主人公の神奈三四郎(かんなさんしろう)役に、市川右太衛門を得て映画化されている。