フランケンシュタインの逆襲 [DVD]
「フランケンシュタイン」とは怪物の名ではなく、その創造主ということを明確にし、更には原作とは異なり「狂気の科学者」のイメージを定着させた作品です。それゆえ、シリーズ毎に新たな挑戦をし続けるので行動の自由度があり、制限の多いドラキュラものに対して最終作まで高い質を維持し続けた記念すべき1作で、怪物よりも博士の方が恐ろしさを感じます。現在の目で見ればスローテンポですが、男爵がまともな学徒から未知に対する過剰な探究心から正邪の区別も顧みず研究に没頭していき、「狂気の科学者」になっていくカッシングの演技は素晴く、現在のCG中心に対して、手造り、演技、演出が前面に出て好感が持てます。
ミレニアムゴジラベスト/伊福部昭 東宝特撮映画傑作集
2006年の2月9日、伊福部昭の訃報が伝えられた。
日本の音楽、ことに怪獣映画の音楽を支えた方で、クラシックの分野でも活躍目覚しく、文化功労者とされていた人である。
私は当時の怪獣映画を実際に観た世代ではないし、音楽の分野でもずぶの素人なのだけれども、去年の暮れにこのCDを購入して、高齢ながらも氏が存命であるのを知っていささか驚いた記憶がある。その数ヵ月後にこうして訃報を聞いたというのは、なにか不思議な縁を感じさせられた。
あまりに有名なゴジラのテーマは小さいころから聞いているし、今もスポーツ報道番組で松井選手が登場するときは必ずといっていいほど流れる。きっとこれから先も流され続けることだろう。理屈ではなく、日本人にとってどこまでも慣れ親しんだ曲なのだ。怪獣映画が一部のマニアだけでなく日本中で愛好されていた時代は、確かにあった。
このCDには聞くと興奮する曲ばかりがクリアーな音質で収められているが、残念なことに私はそれが用いられた映画はほとんど観ていない。今後少しずつでもどのように効果的に使用されているかを確かめたい。特に8番と25番がお気に入りだ。
25番『怪獣大戦争マーチ』は文句なしの名曲だ。いまTV番組「世界ふしぎ発見!」の日立の黒澤明の映像を用いたCMに流されている、あれである。
元気を出したいとき、気分が浮かないとき、そうした弱っているときにこの曲を聴くことで気分の転換を図り、それが功を奏した際に、いまいちど伊福部氏の偉大を思い知らされ、このような素晴らしい人物が最近まで確かに生きていて、この世に存在していたことを確認し、ふと感慨に耽るのである。
ゴジラに捧ぐ 伊福部昭 SF交響ファンタジー 全曲
『伊福部昭の芸術4 宙 SF交響ファンタジー』と同一録音。
『伊福部昭の芸術4』には、自衛隊マーチ(怪獣大戦争マーチ)」
をモチーフにした「倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・
ブーレスク」も収録されています。
『ゴジラ・ゴジラ・ゴジラ! ー ゴジラ・ベスト』は、
『伊福部昭の芸術4』の「SF交響ファンタジー 全曲」と、
『伊福部昭の芸術7』の「SF交響ファンタジー『ゴジラvs
キングギドラ』」をカップリングして、定価2000円と
200円高いだけなので、お勧めです。
フランケンシュタインの逆襲 [DVD]
「フランケンシュタイン」とは怪物の名ではなく、その創造主ということを明確にし、更には原作とは異なり「狂気の科学者」のイメージを定着させた作品です。それゆえ、シリーズ毎に新たな挑戦をし続けるので行動の自由度があり、制限の多いドラキュラものに対して最終作まで高い質を維持し続けた記念すべき1作で、怪物よりも博士の方が恐ろしさを感じます。現在の目で見ればスローテンポですが、男爵がまともな学徒から未知に対する過剰な探究心から正邪の区別も顧みず研究に没頭していき、「狂気の科学者」になっていくカッシングの演技は素晴く、現在のCG中心に対して、手造り、演技、演出が前面に出て好感が持てます。
フランケンシュタインの逆襲 [DVD]
50年代末から60年代中盤に掛けてのハマーホラー黄金時代の幕開けを告げる傑作です。
監督:テレンス・フィッシャー、脚本:ジミー・サングスター、音楽:ジェームズ・バーナード、美術:バーナード・ロビンソン、主演:ピーター・カッシング、そしてクリストファー・リーと言ったその後のハマーフィルム隆盛の立役者となったスタッフ・キャストが揃い踏みです。
テクニカラーで初めて撮られたフランケンシュタイン物は現代の目で見ても非常に禍々しく、博士の実験室のレトロフューチャーな美術と言い、処刑場からの死体盗難の場面と言い、謎の培養液中に浮かぶ包帯に包まれたクリーチャー言い、彩色、デザイン共々綿密に計算されていた事が良く解ります。
原作にアレンジを加えた、人の道を踏み外したフランケンシュタイン博士とパートナー、ポールの愛憎入り混じった人間関係に重点を置いた脚本も見事です。
回想方式で神父に告白される信じ難い事柄が事実なのか博士の幻想なのか、証明出来るのはポール一人なのですが…。
リー演じるクリーチャーは首のメイクに甘さがある物の、長身を利したシルエットとギクシャクした動きにて哀れだが何をしでかすか判らない脳損傷を受けた怪物を熱演しています。
まだ脂が抜けていない若々しいカッシングが科学のみならず己の私利私欲の為に怪物を殺人手段に使うアクの強いフランケンシュタイン博士を好演しています。
本家ユニバーサルのフランケンシュタイン共々、時代を乗り越えた恐ろしさ、面白さを持った傑作です。
とても6万5千ポンドの低予算(当時のレートで約6,500万円)で作られたとは信じられません。
大いにお薦め。
DVDは紙カバー付きで豪華な仕様でした。
映像特典が予告編だけだったのは少々残念ですが、画像はDVDとしては充分美しいです。