北一輝論 (講談社学術文庫)
東条内閣、商工大臣、戦後首相を勤める岸信介に最大の影響を与えた思想家。彼は回顧録に北一輝にあった時その隻眼に凝視されその革命的カリスマ的大きさに震えたと記す。国賊とみなされ発禁処分になった日本改造法案大綱を入手し全文を筆記し北からの思想的影響が彼の人生を決する事となる。革新官僚時代労組を結成して賃下げ反対。日産を育て、商工次官の時に資本家制限をして半社会主義的な政策を打ち出し資本家代表の小林一三と対立辞任。東条内閣で商工大臣になるも東条打倒。この時の同志は戦後自民党から社会党に広がり社会党入党打診の元となる。自主憲法、再軍備、西ドイツ型二大政党の運動を起こすも挫折。巣鴨プリズンの日記で誰よりアメリカを憎みつつ首相の時日米安保改定に倒れる。元来やりたかった福祉を弟子の福田赳夫にやらせ福祉元年を築く。晩年まで国体という事にはこだわるが私有財産にはこだわらないと言う。かの安部晋三の祖父。全く祖父に及ばぬ祖父が生きていたら今の安部を見て叱り付けたろう。
畏るべき昭和天皇 (新潮文庫)
畏るべきとは、二・二六事件という一種の革命を鎮圧し、マッカーサーを押し返し、三島由紀夫の自決を黙殺したこと、ひたすら国民の声に耳を傾ける「無私」の存在として自己を規定した天皇の孤独な戦いを指す。特に戦前は明治天皇の時代のような人材に恵まれず、能吏(東条英機)や、政治的実力に欠け、責任回避に走る重臣(近衛文麿)しか周囲にいなかったのだから(マッカーサーに責任をとると断言した天皇と何と対照的か)。
平和志向の天皇が、立憲君主制の枠を踏み外した過去の反省から、政府・軍部の決定に拒否権を発動し得なかった太平洋戦争開戦時の苦悩は察してあまりある。そして統帥権という魔法の杖。満州事変ではそれを活用した石原莞爾が同じ道具のため日中戦争拡大を阻止できなかったのは皮肉だ。
映画「太陽」に描かれたように、外国の短波放送で情報を収集し、鋭い論理で軍部・政府首脳に下問する姿からは賢明さを感じる。そして二・二六事件関係者の子息に優しく接して心の刺を抜こうとする。天皇の国家という観念からは自由になれなかったが、「政治を超えた虹」たらんとした姿勢はよくわかった。
雑誌の連載をまとめているので、事件の時間順ではなく、少し読み辛い。
それにしても、昭和は遠くなりにけり。
NHK映像ファイル 「あの人に会いたい」DVD-BOX
様々な逆境にも負けず、ただひたすら自分の信念、夢に向かって純粋に突き進んできた偉人達の生の映像、声に触れられる素晴らしいDVDです。
皆さん活躍の分野は違っていても、誰もが根底に”本当にこれが好きだ”という強い信念を持ち、時には揺らぎながらも自分を励ましながら困難に打ち勝って行く人間像が素晴らしく描かれています。
戦後の高度成長、バブルが終わり、現在の日本は未来が見えないまさに迷走状態です。
それでもひとつの”国”としてこれからも国際社会で生き残って行く為には、資源のない私達は”人”で勝負するしかありません。
司馬遼太郎さんのコメントでも出てきますが、”素直で賢い自己を持った若者”に頑張ってもらうほかないのです。
このDVDを観て一人でも多くの若者が触発され、未来大いに世界で活躍してもらいたいものです。
必要のない人 BOX [DVD]
こちら、只今人気絶頂、松本潤さんのファンの強い希望でいまどきのDVD化発売に至ったのは間違いないのですが、食べてしまいたいほど、呆れるほどの可愛さとはこのことでした。しかも弱冠13歳にしてですよ、あれほどセクシー番長な今の松潤に負けず劣らずの色気があるってのがまたまたびっくり。目の動きが半端なく素早いところに頭脳と運動神経の抜きんでた資質をうかがわせますし、華奢な体つきや首と手指の長さたるや、もう既に素晴らしい男性素材であることを罪なほど露呈しています。
無邪気であどけなくて、決して作り込んだとは思えぬ素朴な演技なのですが、まさに今の松潤の片鱗ここにありです。
彼が主演したいくつかの作品のDVDとともに自分の非常持ち出しリストに追加したのは言うまでもありません。もちろんちょこちょことしか出てはいませんがNHKドラマということで配役が大物ばっかりなのには驚きます、きっと撮影現場ではすごく可愛がられたんだろうな、という回りの大女優大物俳優さんたちが今、年齢もさらに上がっていることを思っても、その年月の間の確実で期待を裏切らぬ彼の大きな成長に心から感謝したくなる、そんな映像です。
これを観てから今の三悪人の武蔵役の彼などを観るとまた更に武蔵が美味しく味わえる、そんな濃ゆいスパイス満載なありがたいエディションです。天使のまつじゅんに喝采送りましょう。