私個人の感想として最新作ブラックリストはシリーズのピークと言われた3作目カオスセオリー以上に楽しめたと思います。
焼き直しを除けば7作目に当たる今作ですが、ス
プリンターセルはシリーズを重ねる度にゲーム性やシステムを変更しながらシリーズ物の壁であるマンネリ化を巧みにかわし、はや10年。硬派な
ステルスゲーとしてその攻めの姿勢が高く評価され続けて来ました。
そのため、人によって最高傑作が全く違うというのもこのシリーズの醍醐味です。
中でもゲーム性に著しい変化が見られたのがPS3未発売の前作ス
プリンターセルコンヴィクションでした。
それまでただひたすら
ステルスゲーの王道的システムでドンパチの戦闘には重きを置いていない点で一貫していたこの
タイトルが前作でスピーディな戦闘システムを付加させたことにより、アサルト寄りなプレースタイルを終始貫けるようになりゲームの幅が広がったことから高い評価を受ける結果となりました。
しかし、ストーリーの都合上それまでのハイテクゴーグルを付け、専用
スーツで敵地に単身潜入するというこのシリーズの代名詞とも言えるスタイルが薄れていることに批判が集まったのも事実です。
私自身コンヴィクションは楽しめた反面、前述の理由からどこか寂しい印象でした。
では今作ブラックリストはというと、前作コンヴィクションの流れるようなアクションは引き継がれたまま、肝心の
ステルス要素が強化され非常に良いバランスに仕上がっている印象です。
なにより、ゴーグルに
スーツスタイルがここに来て復活しているのがシリーズファンとしては嬉しいところ。
今作で遂にサードエシュロンの「ベテラン捨て駒」から国家直属組織の長へと出世を果たしたサムはおそらく全作品中最もアグレッシブな40代になっている印象。(海外レビューで言われているエッジがなくなったというのも頷けるが…)
新組織の名前がまさかの「フォースエシュロン」で聞いた時はニヤついてしまいましたが、そこまでしてでも製作サイドは元のスプセルを取り戻したかったことが伝わってきます。
それにこの設定が功を奏している点は多いと感じました。
個人的に良かったのはミッション開始前のブリーフィングに参加できるようになった点です。
今まではすべてムービーかテキストによりストーリーが進み、淡々と与えられた任務をこなす流れでしたが、主人公がリーダー的位置付けの今作ではミッションを実行するか保留するかプレイヤーが決定できるほか、これによりストーリーや現場の状況がしっかり伝わってくるようになりました。
更に、より強力な国家の後ろ楯のお陰なのかあらゆる点において今までより遊びが効いています。
とは言っても007のようなひたすら派手な方向には行かずあくまでもガジェットや装備品、
スーツのデザインを変更したりやや種類が増えたりしている程度ですが、この地味さがまた堪らない所でもあります。
また、2人プレイ等のマルチ要素に並々ならぬをこだわりを有している本
タイトルですが今作に至っては海外レビューでもベタ褒めで、中毒性が高くバラエティに富んでいます。
より戦略的かつボリュームの増した協力プレイに、スパイvs傭兵モードではその名の通りスパイと傭兵に別れ、スパイはハッキングを目的に、傭兵はFPS視点でスパイを探してそれを阻止することを目的としたマルチ対戦でこれがなかなかアツいことになってます。
総評として、あらゆる面で遊びやすくなっている点やプレイスタイルの明確化、シリーズ最大のボリューム、またプラットフォームを広げた点からも新規のユーザーを増やす方針が強く見られ、事実これがシリーズ初プレイでもすんなり楽しめるとは思いますが、7作も出ている上、全作で大暴れした人物が今作でも重要な役所を担っていたりするので人物の背景も含めたストーリーを把握するのは難しいと思います。
しかし、案外途中が抜けていたりしても問題なく楽しめる
タイトルだったりするので初めての方もそこまで気にする必要はないと思います。
シリーズファンの方は違和感ゼロとはいかないと思いますが、システムや世界観の変化には慣れっ子(笑)だと思うので間違いなく我々を裏切らない
タイトルだということを再認識できるのではないでしょうか。
私はまたしばらく寝不足の毎日が続きそうです。
長文失礼しました。
