邦題｢俗悪｣、もう発売してから２０年になるんですね…
しかし中身は2012年現在でもまったく古臭さを感じさせない内容で、最凶の曲達がズラリ。
それが最新リマスター仕様で再販、しかも未発表曲を追加収録。
日本盤の七月発売を待てずに輸入盤を購入。

まずDVD付きの二枚組で、プラケース仕様(デジパック仕様じゃ無いのが意外でした)
リマスタリングエンジニアは原盤のマスタリングをしたハウィーウェインバーグその人です。
(生前、ダレルは彼のマスタリング技術をマジックと絶賛してました)
原盤の音がドンシャリを極めたような音だったので、今回のリマスタ―で
高音が割れるんじゃないかと杞憂してましたが…無駄な心配でした。
まず音圧は高くなってますが、高音・低音共に音は割れず分離が良くなっており、音の輪郭がよりハッキリしています。ベースはブリブリ唸ってますし、ギターの分離も良好。
フィルの小さな「フッ！」と言う唸り声も聴きとれます。

劇的に違うのがドラムの音。バスドラのステレオ分離が非常に解りやすく、「This Love」のクリーンギターの後ろで踏んでいるキックの音が原盤よりハッキリ割かれ大迫力です。少しノイズで歪みがちだったフロアタムの音も明確になってます。
ドラムは音が鳴っている位置が解るので、まるで立体音響の様です。

唯一気になるのは「HOLLOW」の冒頭から流れるロングトーンのギター音が小さく聴こえる事ですかね。
しかしあのドンシャリサウンドを音割れせず、音圧を上げるだけでも大変だと思うのに…エンジニアの技に感服です。

未発表曲「Piss」はグル―ヴ重視の良曲。(日本盤にはPVが追加収録)

付属のDVDはイタリアでアイアンメイデンとのツアー映像が収められています。
ドミネイションの一部をダレルが歌っていたり、フィルがカメラマンを無理やりステージに揚げ、
観客を撮る様に強要したりと、ファンには嬉しい未発表映像ですが…如何せん音が悪すぎます。
モノラル音声でブート並みの音質なので、あくまでファン向けのオマケ程度の物です。
過度にライブ映像に期待するとガッカリします。PVも既に発表されている物なので、
20周年盤を手に取るファンには目新しくは無いでしょう。

DVDの出来はイマイチですが、それを差し引いてもリマスターの音質向上・曲のクオリティが素晴らしいので
マイナス点は有りません。

メタル冬の時代に産み落とされた奇跡の名盤、既存のファンも、現在の若いバンドのファンも手に取る事をお勧めします。

そして改めて感謝します。

「ダレル、本当に有難う。R・I・P」

７月１４日：追記
輸入盤が１０００円弱。国内盤は４０００円という値段設定で「これは売れないかも…」とワーナージャパンが思ったどうかは判らないが、当初予定された仕様より１、スリップケース仕様。２、初回のみレプリカラミネートパスカード封入。３、メンバーが２０周年に当てたメッセージの対訳がテコ入れで追加。

最初は「輸入盤買っちゃたしなー」と思ったが、スリップケース仕様の誘惑に負けて国内盤も買っちゃいました…　クソ、ワーナージャパンめ…
個人的には３の対訳が有難かったです。　DVDにpissが追加されただけで、音質などは一切輸入盤と変わりないです。
アマゾンだと３０００円位で買えるが、定４０００円で買う人はいるのだろうか？
国内盤を売りたければ、まずその強気すぎる価格設定を見直すべきだと思う。
同じ仕様で、定価２６００円だったらもっと売れる気がしますよ。

洗練されたへヴィメタル。
これでもメタルはダサいと言う奴はそもそもお門違い
とにかくすげーもんを創ろう、ってパワーでブチ漲る。
絶頂期、絶好調の、へヴィメタルアート。
これもまた芸術。
傑作

親愛なるダレルよ、なんて貴方は人生を楽しんでいたんだ…。

永遠にそのギタープレイを生で見ることが叶わないと知ったあの日。

人間、あまりにショッキングな出来事が起こると言葉が出ないと言う事を実感したあの日。

やっと立ち直って見ることが出来た本作。今も昔も変わる事無く、貴方のその姿に勇気をもらってます。

世の中にはこんなギタリストも存在していたんだと、少しでも多くの人にその目と耳で実感してほしい。

パンテラのデビュー作とされるCowboys from Hell以降のオリジナルアルバムがこれひとつですべてそろいます。

紙ジャケで歌詞カードが無いのが残念ですが、この値段で手に入ることを考えれば文句無しです。

一生の宝物にします。

パンテラのみなさんありがとう。