謎の村雨くん 1 (ジャンプコミックス)
発想、画力、演出、構図、キャラクターの心の動きを遺憾なく描き出してみせる筆力、
擦れ一つなく、ミリ単位で緻密に描きこまれたカケアミに代表される恐ろしく丁寧な画面処理。
どれをとっても、作者の地力を感じさせる出来である。
しかし悲しいかな、各エピソードの出来自体は悪く無いのに、肝心の構成とつなぎの展開が
冗長・ちぐはぐなせいで、全てが空回りしてしまっている。
連載化で加えた新設定が、読切でのテンポと爽快感が殺される方向に働いてしまったのもマイナス。
結果、主人公が自由に動くことの出来ない状況のまま22週をかけてなぶられ続ける羽目に
なったのだから、作者の苦悩察して知るべし。
第1話の「父親の呪縛の鎖に縛られる主人公」の図が、如実にこの作品を現している。
とどめに来るのが空間恐怖症のネーム版というべきか、「説明不足でした」とのコメントを
残した前作の失敗を未だ引きずっているかのような、強迫観念すら感じさせる膨大なセリフ量と、
ことごとく外した悪役のデザイン。
この作者、短い尺で丁寧に伏線を張り物語を盛りたてるのはやたら上手いのに、
なぜ長尺ではこうもグダグダな話作りしか出来なくなるのだろうか…。
どれも打ち合わせ次第でどうにかなりそうなレベルの問題だけに、何故編集も作者の迷走を止めてやらなかったのか。
文句ばかり書き連ねたが、6話のアクションはなかなかの圧巻。
作者の初期短編作品に見られたような奇想天外な秘密兵器が好きな人なら、読んで損は無いだろう。
また、この巻に登場する学園サイドの登場人物も、「ノルマンディ秘密倶楽部」の作者らしく、
皆好感が持てるキャラクターに仕上がっている。
また、本巻には収録されていないが、読切版「謎の村雨くん」は、作者の地力と持ち味が遺憾なく発揮された秀作であった。
単行本3巻には収録されるであろうから、機会があれば是非目を通して欲しい。
細部に至るまで入念に作り込まれた、執念のエンタティメント作品である。
擦れ一つなく、ミリ単位で緻密に描きこまれたカケアミに代表される恐ろしく丁寧な画面処理。
どれをとっても、作者の地力を感じさせる出来である。
しかし悲しいかな、各エピソードの出来自体は悪く無いのに、肝心の構成とつなぎの展開が
冗長・ちぐはぐなせいで、全てが空回りしてしまっている。
連載化で加えた新設定が、読切でのテンポと爽快感が殺される方向に働いてしまったのもマイナス。
結果、主人公が自由に動くことの出来ない状況のまま22週をかけてなぶられ続ける羽目に
なったのだから、作者の苦悩察して知るべし。
第1話の「父親の呪縛の鎖に縛られる主人公」の図が、如実にこの作品を現している。
とどめに来るのが空間恐怖症のネーム版というべきか、「説明不足でした」とのコメントを
残した前作の失敗を未だ引きずっているかのような、強迫観念すら感じさせる膨大なセリフ量と、
ことごとく外した悪役のデザイン。
この作者、短い尺で丁寧に伏線を張り物語を盛りたてるのはやたら上手いのに、
なぜ長尺ではこうもグダグダな話作りしか出来なくなるのだろうか…。
どれも打ち合わせ次第でどうにかなりそうなレベルの問題だけに、何故編集も作者の迷走を止めてやらなかったのか。
文句ばかり書き連ねたが、6話のアクションはなかなかの圧巻。
作者の初期短編作品に見られたような奇想天外な秘密兵器が好きな人なら、読んで損は無いだろう。
また、この巻に登場する学園サイドの登場人物も、「ノルマンディ秘密倶楽部」の作者らしく、
皆好感が持てるキャラクターに仕上がっている。
また、本巻には収録されていないが、読切版「謎の村雨くん」は、作者の地力と持ち味が遺憾なく発揮された秀作であった。
単行本3巻には収録されるであろうから、機会があれば是非目を通して欲しい。
細部に至るまで入念に作り込まれた、執念のエンタティメント作品である。