飛燕戦闘機には興味があり、どのような性能でどのような活躍をしたか知る機会がありませんでした。
今までゼロ戦の空戦記を読んでいましたが、相互無線通信を交わしながら編隊戦闘する空戦が驚きであり、パイロットの防弾鋼板を装備し戦っていたことが驚きでした。読んでいて妙な安心感を持って読むことができました。
物語も型破りの小沢隊長と筆者の松本少尉それと日野機付整備軍曹との心の交流が誠にリアルに描かれていて、今まで読んだ空戦記にはない人間臭さのある新鮮なものを感じました。
そして、戦争というむごい運命に出くわし、命を懸けて戦って亡くなっていった多くの若者のご冥福を祈らずにいられなくなります。

まさに、編隊空戦とは何ぞやというテーマを、描ききった作品。
やや、空間認識が必要とされるので満点をあげたいところを、星４つで我慢。
空中戦というのは、自機のポジショニングいかんで全てが決するというものなのだということが分かる作品です。
ミサイルのない時代だからこそ、空中での編隊維持や自機の操作が重要とされたというところでしょうか。

　空戦の臨場感、パイロットの心理、機体の動きと質感　等が、読んでいると目に浮かんでくる。フィクション説を知って、複雑な気持ち。でも、部分的にでも体験してない人はここまで書けないのでは？軍用機好きには、最高の空戦録！