リバーズ・エッジ 愛蔵版
はっきり言って読むのがつらい。まるで大宰治の小説みたいだ。人物たちも悲惨だし、岡崎じしんも楽しく書いていたか極めて疑わしい。 それでも彼女の、この道端のゲロのような、キワモノできもい芸術作品は奇蹟である。 岡崎は80年代からち●こま●こを書きたいだけ書いていた。彼女にとってはゴダールの映画やストーンズの音楽どうよう親しみのもてる対象だった。すかしてやがる、というやっかみが聞こえてきそうである。 このリバーズ・エッジもキワモノの宝庫?だ。何一つとして美しいものはない。男にぶたれてかえって性的魅力を覚える男まで出てくるありさま。 岡崎にとっては、山田花子の「神の悪ふざけ」すらもいとおしいに違いない。と同時にそれらは憎くて気安く愛せないものであった。ゴダールの映画のように。 こんなキワモノマンガにゴダールだのストーンズだの語る私もきもい。しかし岡崎は大真面目に殺風景な日常を愛し、憎んでいた。誰が読んでも異常な日常を。 並みのマンガ家にこんな芸術作品は作れない。トリュフォーにもゴダールにもこんな映画は撮れない。ニルヴァーナにもスマパンにもこんな厭なロックは鳴らせない。 私は永遠に岡崎に憧れるものの一人だ。この駄文が参考にならななかったらごめんなさい。
pink
どうしてもそうなっちゃうのかなぁ、主人公のユミちゃん、継母、ケイコちゃん、ユミのお母さんみんなを不幸にしたダメ親父が、何故か一度も出てこないし罰も受けてないですよね。それこそワニの餌にしちゃえばよいのに、彼だけはうまく罪を逃れてて、女同士の愛憎劇になっちゃった感じ。女ってそんなもんかもと思うけど、やっぱり悔しい。自分は実の娘のユミの荒んだ生活も知らず、死ぬほど憎みあっている継母(ユミの母を自殺に追いやった自分の妾)に、月々のマンション代を娘に渡すよう指示する父親なんて最低。個人的にはやっぱり岡崎さんの作品では「ヘルタースケルター」の方が、カーンと視界が開けてて好きですf^_^;
ヘルタースケルター (Feelコミックス)
ついに幻の連載『ヘルター・スケルター』が単行本化。圧倒的な画力と想像力、そしてストーリーテリングで、一度読み始めたら止まらないジェットコースター並みの速力でグイグイ物語へ引き釣り込んでいく。美の権化「りりこ」を中心として、周りともども巻き込んで行くどろどろの展開は、もう目を見張るばかり。キャッチコピーでもある「最初に一言 笑いと叫びはよく似ている」と言うのが秀逸。一気に読んでしまうこと請け合い。鳥肌と涙が出ました。