神様のボート
桃井先生の「東京から出て行って欲しい」という言葉を守るため、あの人に出逢うため、旅をし続ける親子。
その設定を読んだとき、これは自分が引越しを決めたときに読まなければならない、と思っていました。
今、引越しを決めてこの本を読むと、草子の素直な気持ちが痛いほど伝わってきました。
江國香織の文章は、いつもありきたりさがない。一般性がない、と言ってもいい。不思議な設定、
不思議な語り口、ああそうだ、というような膝を打たせる共感など全く求めていないかのようです。
それでも、徹底的に登場人物の人生を読ませきってしまう。気持ちを伝えきってしまう。
そして、江國香織の文章はいつも短い。一言一言がいつも短いのに、知らない間に登場人物を知ってしまう。
だから、知らない間に読み終わってしまう。どこまでも不思議な作家なのだ、と思います。
幼かった草子が成長していく中で、変わりゆく気持ち、自立していく様子、この辺りは特にいつの間にか、を感じました。
いかにもな描写はしない、短い言葉が知らない間に伝えてしまうものがありました。
こんな親子はきっといない、少なくともほとんどいない、と思います。江國香織の小説はそれでいい、と思います。
村山由佳も大好きですが、江國香織は彼女と同じように全てを説明する必要はない。共感をする必要もない。
それでも不思議な登場人物の中、一瞬見出す真剣さ、懐かしさがいいんだと思います。
「すいかの匂い」の不思議な後味の悪さも嫌いではありませんでしたが、この小説の読後感もまた不思議で、
なんだかいいな、と思いました。とっても印象に残る本だと思います。
お薦めできる本だと思いますよ。
その設定を読んだとき、これは自分が引越しを決めたときに読まなければならない、と思っていました。
今、引越しを決めてこの本を読むと、草子の素直な気持ちが痛いほど伝わってきました。
江國香織の文章は、いつもありきたりさがない。一般性がない、と言ってもいい。不思議な設定、
不思議な語り口、ああそうだ、というような膝を打たせる共感など全く求めていないかのようです。
それでも、徹底的に登場人物の人生を読ませきってしまう。気持ちを伝えきってしまう。
そして、江國香織の文章はいつも短い。一言一言がいつも短いのに、知らない間に登場人物を知ってしまう。
だから、知らない間に読み終わってしまう。どこまでも不思議な作家なのだ、と思います。
幼かった草子が成長していく中で、変わりゆく気持ち、自立していく様子、この辺りは特にいつの間にか、を感じました。
いかにもな描写はしない、短い言葉が知らない間に伝えてしまうものがありました。
こんな親子はきっといない、少なくともほとんどいない、と思います。江國香織の小説はそれでいい、と思います。
村山由佳も大好きですが、江國香織は彼女と同じように全てを説明する必要はない。共感をする必要もない。
それでも不思議な登場人物の中、一瞬見出す真剣さ、懐かしさがいいんだと思います。
「すいかの匂い」の不思議な後味の悪さも嫌いではありませんでしたが、この小説の読後感もまた不思議で、
なんだかいいな、と思いました。とっても印象に残る本だと思います。
お薦めできる本だと思いますよ。
きらきらひかる (新潮文庫)
妻でアル中の笑子に夫でゲイの睦月。その恋人の紺君。こんな風変わりな三人を中心にして織り成されるやさしい物語。
優しさがときには一種の残酷性を帯びると言うことを教えてくれる。使い方次第ではどうにでもなる優しさがうまく使えない笑子と睦月がとても瑞々しくて、なぜかホっとしてしまいます。そして、少し抜けたようでいてすべてを見通しているような紺君がいいアクセントとなって物語を引き締めています。愛情の危うさや強さっていうものがひしひしとつたわってきて、恋愛をこんな形で表現できるってことはすごいことだなと思いました。
映像化もされているらしいです(見たことないけど)。ちなみに同名のドラマはまったく別物です。
こころを温めたい人にはお勧めです。
優しさがときには一種の残酷性を帯びると言うことを教えてくれる。使い方次第ではどうにでもなる優しさがうまく使えない笑子と睦月がとても瑞々しくて、なぜかホっとしてしまいます。そして、少し抜けたようでいてすべてを見通しているような紺君がいいアクセントとなって物語を引き締めています。愛情の危うさや強さっていうものがひしひしとつたわってきて、恋愛をこんな形で表現できるってことはすごいことだなと思いました。
映像化もされているらしいです(見たことないけど)。ちなみに同名のドラマはまったく別物です。
こころを温めたい人にはお勧めです。