自分にとってのヘミングウェイのベスト3の１つ。

スペインに行ったときに，ヘミングウェイの足跡をたどる時間がなかったのが残念。

一見、暗そうな話の中に、希望が見えて来るのがヘミングウェイの人間性の証しなのだろうか。

この本にあるのは紛れもない挫折だ。人生で一度あるか無いかの大勝負。一度は勝つが、結局は失う。サメに食い荒らされ、骨だけになった大カジキを見て港にいる人が言う。
「あれは何？」
「サメだよ。」
なんて惨めで無様なんだろう。でも、サンチャゴは負けたわけではない。ライオンの夢を見て、きっと翌朝にはまた釣りに行くのだ。
ヘミングウェイは、別の作品でも言っている。「人は、打ちのめされるが、負ける事は無い」
何年かに一度、この本を読み返しては、その事を繰り返し確認したくなる。この本は、僕の人生における句読点だ。

活字から、キンドル本に変換するときに誤植が多数発生しているのが気になりました。
スキャンした後に、校正することをしていないみたいです。

さて、ヘミングウェイの小説は、恥ずかしながら青春時代に読んだことありませんでした。
いきなり英語で読んでみて感動しました。年を重ねてわかる回想的読書を満喫できました。
イタリアの地名をgoogle mapで検索しながら主人公の軌跡を辿れたこともインターネット時代ならではです。

Kindle Fire で読みました。
位置No.919 から，『キリマンジャロの雪』の原文が収録されています。
朗読音声は，コンピュータの自動生成ですが，そこそこ楽しめます。

ヘミングウェイの最高傑作はここにある。通常知られている有名長編（「老人と海」「武器よさらば」など）よりも、よりヘミングウェイらしいヘミングウェイが収められている。乾いた文体。ヴィヴィッドな描写（そば粉のクレープのなんと美味しそうなことか！）。無名作家だったパリ時代に幾多の芸術家たちと交友しながら書き綴った短編の数々は今でもわれわれの心を強く揺さぶるものがある。「われらの時代」末尾を飾る「二つの心臓の大きな川」を読まずしてヘミングウェイを語るなかれ！