昔からのストーンズのファンなので、以前からこのビデオテープは持っていました。(デッキが壊れてしまっているので最近は見ていません)で、このビデオを見て一番印象に残ったのがレフティ・ディズ。ブルースファンの友達と鑑賞会を開いた時も、「このサウスポーのギタリストはいったい誰だ?」と話題になったものでした。(今回初めて名前を知りました)で、今回のDVDを購入して見たのですが、どうもレフティ・ディズのインパクトが薄れてしまっている。もっとストラトの音も枯れていたし、ボーカルやギターの音量も大きかったはずですが、他の曲との平準化を図られてしまったのではないかな。
で、星4つとしましたがそれでも十分楽しめました。
このマディ・ウォーターズの伝記は、まず写真から始まる。実に47ページに及び、マディ自身だけでなく、リトル・ウォルター、ジミー・ロジャースなどの歴代バンドメンバーの写真もある。凄いと思ったのは、マディの葬儀プログラムの写真があること。これによるとマディは
ミシシッピ州ローリング・フォークに1915年に生まれ、1983年に亡くなっている。
序文はエリック・クラプトン。
本文は約340ページ。マディの誕生、祖母に育てられたこと、教会との関係、初等教育、厳しいプランテーションでの仕事、シカゴへの進出、成功のためのたゆまぬ向上心、チェスとの関係、ビートルズやローリング・ストーンズなどによるマディの音楽への言及が白人ファンを増やしたこと、などが述べられている。マディが後進を支えたとの美談がある一方、著作権が曖昧な時代とはいえ、マディも事実上の盗作を行っていたことなど不名誉なことも述べており、客観的である。
なお、いくつかの逸話が面白い。少年時代のジュニア・ウェルズが事実上のハーモニカ窃盗で逮捕された時(少ない額を払った後、奪って逃げた)、裁判官がウェルズにハーモニカを演奏させ、それを聞いた後、差額を裁判官が払って訴訟棄却にしたとの事である。気の利く裁判官がいるものだ。
本書の読者はブルースファンであり、かつビジネスマンである場合が多いと思う。マディは米国音楽史上屈指の後進育成者でもあった。彼のバンドメンバー育成手腕は参考になるかもしれない。