田中角栄、50代以上の方ならば身近に感じる人かもしれませんが、30代以下の方ならば日本史で習った歴史上の人物、そんなイメージではないでしょうか。著者は
田中角栄元首相に仕えた人々の証言から構成されており、リ
アリティーのある内容になっていると思います。本書を読んで田中派から4人もの首相経験者を輩出したことから、いかに人を育てたのかよく理解できました。この本を読んでいると現在の政治を見て、どのように感じるのかなあなどと思いを巡らせてしまいます。
日本史や戦後政治史に興味のある人はもちろん、人心掌握術に関心のある方はオススメの1冊です。
いわずと知れた、立花隆氏の代表作である。
上巻には、時の総理大臣・
田中角栄を退陣に追い込んだ「
田中角栄研究」を始めに、500日以上にわたる田中金脈追及の記録が収められている。
全編を貫くのは、数学的といっていいほどの完璧な論理だ。徹底的な取材により蓄積した膨大な事実の一つ一つを、氏は常に冷徹かつ合理的に解体していく。
立花氏は本書で「カネの力で政治は動く」のだという「日本人の常識」こそが、田中と田中型政治を生んだと指摘している。
この「常識」は、本書の発表から四半世紀を経た今にもそのまま当てはまるのではなかろうか。氏の言葉は、現代に直接向けられているようにも思える。
月刊誌に掲載された一論文が、結果的に一つの政権の命脈を絶ったという事例は、おそらく世界中捜しても二つと無いだろう。
「ペンは剣よりも強し」を、本当に証明してみせた一冊。その意味で、ジャーナリズム史上の不朽の名作である。