程よく余裕があり裾にフリルのついた、今の時期にぴったりのウォームアップです。生地には透けない程度に細かい模様が編んであり、なかなかおしゃれです。真ん中についている紐はただの飾りですが、伸縮性がありウエストにフィットします.ただもうピンクしかないので残念です。
アール・スワガー、1953年のキューバのハバナに現れる。
スティーヴン・ハンターの“アール・スワガー・サーガ”3部作の第3作。
本書で、‘タフガイ’アール・スワガーとその息子で名うての‘スナイパー’ボブ・リー・スワガーと連なる、7作におよぶ壮大な一大“サーガ”はいったん終末を迎えた。
本書でアールは、地元アーカンソー州選出の下院議員エサリッジのボディガードとしてキューバ視察に同行することになる。だが、それは表向きに過ぎず、実はカストロを抹殺する“ビッグノイズ作戦”のために駆り出されたのだ。
その頃キューバは、アメリカの傀儡政権であるバティスタ大統領の独裁下にあり、
イタリア系マフィアなどのギャング組織が進出して、違法行為に手を染めたりしていた。
本書の物語の中心は、アール・スワガーというより、カストロである。今でこそ、高齢のため健康状態が懸念されるカストロだが、当時はまだ26才、ようやく当局に目をつけられ始めたところだ。彼を軸に、ソ連の秘密工作員、アメリカ大使館、ギャングのボス、アメリカから来た殺し屋、キューバ軍情報部などが入り乱れて謀略戦や活劇の限りを尽くす。
アールも、いやおうなくその中に巻き込まれてしまうのである。
本書は史実と創作が錯綜し、アールをはじめ、架空の人物と実在の有名人たちが物語のなかで絡み合いつつ、多才なエピソードとともに展開してゆく、シリーズとしては異色の、国際謀略小説である。
しかし読者としては、ストーリーの中心をあくまでアールに据えて、このシリーズですっかり定着した、彼のガン・ファイトをはじめとするアクション活劇をもっと堪能したかった。
実力は折り紙つきなのに、どうもM・C・スミスの日本での扱いは低い。
代表シリーズであるアルカージ・ワシレヴィッチ・レンコを主人公にした作品群は、
実に4つの出版社を渡り歩いている。
つまり、1作ごとに変わっているわけだ。
早川から「ゴーリキー・パーク」、
新潮から「ポーラー・スター」、
一番の鬼子扱いなベネッセから出た3作目「レッド・スクウェア」、そして、今回の「ハバナ・ベイ」は
講談社。
そろそろ安住の地を提供してあげてもいいんじゃないか?
地味だが、堅牢、充実した読み物を提供してくれる作家なのだから。
これまで活躍してきたグランドとは真逆の、北回帰線より下の地で捜査を開始するレンコ。
場所や気質は違えど、根底に流れる物はどこの国家でも不変なのかもしれない。
ラムやシガーの国の物語だが、ここはウオッカを飲みながら読みたい。