最初は、自身は派手な生活をして、巨万の富をユダヤ人の労働者によって稼ぎ出し、何万という救いを求めているユダヤ人の中から、救う人を選別するというシンドラーにあまり共感できず、その行為を不遜に感じてました。
また、人物像もはっきり見えてきませんでした。
それに対し、ナチのアーモンの方が、残酷な行為の中に葛藤が見えたり、よく人物設定ができていたように思います。
しかし、ラストで、逃亡するシンドラーに助けたユダヤ人はタルムート(ユダヤ教の聖典)の言葉「一人の命を救うものは、全ての命を救う」が刻まれた指輪を渡すのです。
それを見た途端に、「もっと多くの命が救えたかもしれない」シンドラーは号泣します。作品を見ながら、このシーンまで、助けられたユダヤ人とそうでないユダヤ人への不公平感、もっと救えたのではという感がありましたが、このシーンで、シンドラーの行為の重さ、そして、多くの人を救いながらも傷ついた彼への共感があふれてきました。
確かにシンドラーは100%の英雄ではないかもしれません、そしてもっと多くの命を救えたかもしれません。しかし救った一つ一つの命はかけがえないものです。
とにかく戦争の不合理さ、多くの人の心を狂わせ、破壊してしまうその行為の悲しさが心に刻まれた映画でした。
また、シンドラーに救われなかったユダヤ系
ポーランド人でホロコーストに生き残りのポランスキが、やはりそれを生き延びたピアニストシュピルマンを描いた「戦場のピアニスト」も一緒にご覧になることをお勧めします。
そしてポランスキが何故「シンドラーのリスト」の監督を引き受けなかったのかを考えてみると、さらに心が痛んできます。
私がこのシンドラーを見たのはどのような経緯であったかは忘れましたが、この映画の持っているくらい陰が私を引きつけたのだと思います。私もこのドラマの当時、
神戸で3歳の頃空襲にあって、焼夷弾と火の粉の中を、母に手を握ってもらい、布団をかぶって逃げ回った記憶がはっきりと蘇ってきます。途中で見た黒こげになった赤ちゃんを抱いた親子、、、そして戦後の焼けた暗い町のイメージがだぶり、あのシンドラー、、のテーマ音楽が流れて来るとつい涙してしまいます。あのドラマの中に置かれた人達のせっぱ詰まった状況が、ひしひしと伝わってくるのです。この音楽を演奏しているイツァークパールマンも’45年生まれのユダヤ系アメリカ人で、この
バイオリンを採用されたことは実にこの映画を成功に導いた一因だと言えます。独特のビブラートによる節回しは、さらに涙を誘うのです。未だにこの映画がDVD化されていないのを知って残念に思っています。イラク戦争の早期終結を祈って止みません。
映画を見てメインテーマ曲が気になったので購入しました。映像は無いのに映画そのものをまた見ているように引き込まれて、情景がそのまま浮かび満足して毎日のように聴いています。映画のテーマで辛く、苦しく、悲しく、寂しく、切なく、何度も聞いていると、
バイオリンのあの音が胸の奥まで入り涙が出るほどですけど、なんですか良い!誰にでも勧められるとは思わないけど本当に良い曲です。気に入りました!
映画そのものもよいが、ユダヤ系ヴァイオリニストであるイツァーク・パールマンにささげられた調べが特筆に価する。彼のヴァイオリンはやや輝きがかった音で画面の静謐さとは異なる音作りだが、映画の進行を支える役割を充分に果たしているだけでなく、組曲として聴いても素晴らしいものだ。