このDVDは2001年時点の映像です。円熟のアコースティック
セッションを堪能出来ます。デビュー当時の荒々しさも好きですが、こういう落ち着いた雰囲気のZKも渋くて最高です。インタビューパートでは、二人の「らしさ」を垣間見ることが出来ます。星4つにしたのは、個人的に司会の方が気にくわない為です(笑)パンタとトシを扱いきれてない上、自分の自慢気味の話が鼻につきました。
30年間も眠っていたら聞く側から毒気が抜けて再発可能になる国、日本。スタジオ録音の頭脳警察2を聞いて納得していた20年間は何だったのか?素晴らしい演奏と、音質、と空気。
タレント本」でカスタマーレビュー検索すると、「ただのタレント本ではない」という文を含むレビューが沢山ヒットするが、この本は「思ったよりタレント本で良かった!」。前回「歴史から飛びだせ」は、聞き書きとはいえ、一人称「俺」で書かれ、車の話などディテールがめちゃくちゃリアルで、どうしても作り話とは思わせてくれなかった。詩人PANTAを遠目で見ていたいファンにとっては「ただのタレント本ではなく」もはや、説明しすぎに思えた。
PANTAの名前で書く「小説」だというので、PANTAには詩だけ書いてほしいのにと、不安を持って読んでみた。ところが期待?を裏切って、タレント本ふうの構成で、一人称も(前書きと後書き以外は)「僕」で、文体も別人、たとえ実話であってもそうと知らなければフィクションとしか感じられないさらっとした描写。
昔、インターネットがなくてPANTAが謎に包まれていたころは、詩をどんどん深読みして「光輝く少女よ」や「少年は南へ」にインスパイアされた同名の小説を書いてファンレターとして送ったりしていたものだ。難解だからこそPANTAの詩は私たちの想像力を無限に拡げてくれたのだ。
だから、自伝の中に、いまさら、ものすごく具体的にそうとわかるモデルが出てきたりしたら、困るのである。その点、この小説ではたとえば登場人物「田畑真弓」の存在感などほどほどに希薄で(かといって、薄すぎもせず)よかった。私は昔「光輝く少女よ」を活動家の妹かなんかで想像して小説を書いた。アニメっぽいキャラを考えて萌えた男子もいるだろうし、自分だと信じている女子もいただろうけど、そんな誰もが、裏切られなかったと思う。
1950年生まれの男の子が、大学紛争で暇で友達の家にたまってて、友達以上恋人未満の彼女は真面目に女子大でお勉強、という設定は、40年前の小説「赤ずきんちゃん気をつけて」と同じだが、庄司薫の「由美」の描き方は、どうしても上から目線になってしまうので、女子には少し、しょっぱい。その点、この本のハルオちゃんは女子大生の真弓も、ストリップダンサーのさゆりさんも、徹底的に上目使い。
フランスふうの味付けで上品だ。そういえば、ママやおばあちゃんの描き方が
イタリアふうでもある。PANTAのロックに合う「肉食系ラテン男」っぽい詩と、文体は全然違うのに同じ香りがして違和感がなかった。
意外に現実感が濃いのは、そういう少年が育つ家庭環境の描写だ。東京周辺で似たような環境に育った人間には当たり前のことが、こまごまと書いてあるが、カッコよりも中身でなんぼの関西や、閉鎖的な土地、父親が強大すぎる家、なんかではこういう子は育ってこない、と思わせるリアルさがある。読みやすい子育て本としてもなかなかいい線いっていると思うが、PANTAみたいなカッコイイ息子が欲しいと思う親は残念ながら日本では多数派ではないかもしれない。
こんな読み方をする元・女の子を、上から目線で見ているに違いない、コアなPANTAファンからは、全然違うレビューが出ること必至だが、昔男の子だった人は、きっと、ミュージシャンになれ(なら)なかった登場人物の誰かに感情移入して、マイ・アナザー人生?を想像しつつ、それはそれで楽しく読めるのかもしれない。
最近、
メジャーから離れていますがやっぱりパンタですね。決して歌が上手いわけではありませんが、味わいがあります。