スウェーデンのプログレッシブ・メロディアス・デスメタルバンド、オーペスの8th。
これまでにも単なるメロデスなどではないプログレッシブなセンス溢れる作品を作り続けてきた彼ら。
そのアートな才能にはもっと知名度と評価を与えてよいバンドの筆頭であろうと思う。
そして今作は、とにかく美しい。デス声とノーマル声を使い分けるバンドのリーダー、
ミカエル・オーカーフェルドの表現力も素晴らしく、ときにメロウな旋律を奏でるギター、
そして今作から加入したペル・ヴィバリ(SPIRITUAL BEGGARS)の絶妙なキーボードワークが
サウンドに広がりとやわらかみをもたらし、このバンドの表現する世界観を上手く彩っている。
静と動の対比、聴き込むほどに練り込まれたリズムアレンジとギターリフによる構築の妙。
すべてにおいて完成度の高い芸術作品。メタル云々よりも、アートなロックとして鑑賞すべきアルバム。
これを聴かずに何を聴くのだ!という、あらゆるメタラーに、そしてプログレファンにも広く聴いて欲しい1枚。
ミカエル・オーカーフェルト(vo,g) ピーター・リンドグレン(g) マーティン・メンデス(b) ペル・ヴィヴァリ(key) マーティン・アクセンロット(dr)
スウェーデン出身プログレッシヴ・デス楽団OpethによるライヴDVD。2008年発売。2006年11月に、
ロンドンのラウンドハウスにて行われたライヴを収録。
全9曲で1時間50分。これまでに出した8枚のアルバムからほぼまんべんなく選曲されているが、なぜか「Deliverance」収録の曲だけ漏れている。Opeth史上最もヘヴィで凶悪なアルバムからの曲が入っていないのは残念だが、それでも十二分に見ごたえのある映像作品であることに違いはない。Opethというバンドの雰囲気と、ラウンドハウスという会場の雰囲気がぴったりはまっている。
轟音と静寂を巧みに操る彼らの楽曲。その卓越した作曲能力とそれに見合うだけの演奏力の高さは、このDVDでも如何なく発揮されている。
ペル加入以前の曲も多く含まれているわけだが、ペルのキーボードはそれらの曲にも違和感なく溶け込んでいる。まるで元々そうであったかのように。
ただ音量が終始一定せず、そこが観ていてストレスになる。ヘッドホンで聴いているとそれがより顕著に表れる。ミキシングの悪さとかそういうレベルの話ではなく、それ以前の問題。ライヴの内容自体は完璧だし、映像も美しいだけにこの音量の不安定さはもったいない…。