現在、小説、映画、音楽など多方面で活躍中の辻仁成のソロデビューアルバム。プロデュースには「ムーンライダーズ」の鈴木慶一氏を迎えている。ソロ時代では、この初期の頃が一番、曲的にも詞的にもレベルの高い作品を制作している。このアルバムもその中の一つ。
それから、辻仁成氏の小説のファンなら、このアルバムに収録されている「ガラスの天井」「ニュートンの林檎」(Poem Readersとして「南果歩」さんも参加)とか聞きなじみのある
タイトルも含まれています。
以下、本作の中でも名曲の「ガラスの天井」「サボテンの心」「僕たちの結婚」「愛はいつも思いがけない」を紹介。
欲しいもの、なりたいものがすぐ上の天井からぶら下がっているのに、どうしても手が届かない。その「見えない壁(ガラスの天井)」をラップ風に歌い上げた「ガラスの天井」。<Pソロ時代最高の名曲との呼び名も高い「サボテンの心」。
結婚直前の生活。寒い冬の中、君が待つ暖かいアパートへ向かう。アパートのそばまで来て、ふと「窓の明かりの向こうに映った君の影を見上げる」。そんな男性の姿を描く「僕たちの結婚」。
偶然、遮断機の前で出会った君。それと同時に学生時代の君との毎日を思い出す。そしてその頃の僕の気持ちも…。そして「電車が目の前をよこぎる/君をすっかり隠してしまう/ふとした時にやってくる/愛はいつも思いがけない」。そんな瞬間を切り取った「愛はいつも思いがけない」。
他にも名曲ぞろい。鈴木慶一氏の影響で、曲もECHOES時代やソロ時代の他のアルバムとは一味違っていて、ファン以外の人でも一聴の価値あり。