今回のアルバムがシロップ16gにとって最後のアルバムになる。 シロップ16gというのはとても独特な佇まいを持っていた。 あのなんとも言えない退廃的で刹那的な世界観に惹かれ、共感していた人も多いことだろう。
新しい音源としては3年ぶりだが、これだけ多くの人が待っていたということがその証左だ。 言い換えれば、彼ら以外にこのポジションに居るバンドはどこにも居ないということだろう。 故に、その解散を惜しむ声は今も絶えない。
そんな中でリリースされる今作だが、先行視聴やライブでの演奏を聴く限り、かなりソリッドだ。 しかし、重いというわけではない。 以前にあったようなメランコリックさからより飾り気の無く、骨のある音へと変化している。 ディレイ・コーラスのかかったギターや切ないメロディは健在だが、妙に達観を感じる。 解散という事が影響したのかもしれない、それは歌詞にも表れている。 解散というと妙に感傷的になりがちだが、このアルバムで聞くかぎり、そうした要素はなく、むしろ力強ささえ感じる。
ソングライターである五十嵐氏がどういう心境でこのアルバムを作成したかは私には分からないが、最もシロップ16gで力強くタフなアルバムだと感じた。
最後に五十嵐氏のアルバムに対するコメントを載せておこう 「要するに俺にとってバンドというのは青春みたいなものだった。 いや青春は終わってたんだけど、バンドをやることでその終わった青春を取り返してたのかもしれない。 でも、それに別れを告げる時が来た。 だから、以前のような感情の哀しさを出すというより、色んな人に終わりを伝える作品にしようと思った。 少し線が太いように聞こえるのは、その辺りが影響したのかもしれないね。」
3月1日、シロップ16gは終わりを迎える。
ところどころでいつものように叫んだり笑ったりする中畑さんも、、 正常で何かをぶちまけるようにベースを弾くキタダさんも 最後まで生活のソロが弾けない五十嵐さんも最後まで愛おしいバンドだなと思いました。
陰鬱な暗い歌詞をポップでダークなメロディに乗せて、黙々と演奏される姿も最後なんだなあと思うほどにしんみりしてしまいますが、最後にこの映像を手元に持っておくことが出来てよかった。 シロップファンならこのDVDは必携でしょう。
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