セーヌ河クルーズ 2013.8.14

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パリが沈んだ日―セーヌ川の洪水史

パリが沈んだ日」。印象的なタイトルにまず惹かれたが、
本書は文字通り、パリが水に沈む日=「洪水」をテーマとした書。
憧れの街・パリを象徴するセーヌ川は、氾濫・洪水を引き起こす
荒れる川でもあるのだとか――そんなことはまったく知らなかったから、
全編これ驚くことばかりの本である。

著者は「自然地理学」を修めた方。
本書の前半では、洪水の起こるメカニズムとセーヌ川の特殊性、
そして洪水をふせぐ治水の手法などが詳細につづられている。
「詳細」といっても、話はとてもわかりやすい。
用語の説明も丁寧で、参考図やグラフ、地図等もふんだんに挿入されているから
スラスラと読み進めることができる。

大雨のほか、雪解け、解氷による増水を主な原因とするため、
パリの洪水は冬から春にかけて起こるのだそうだが、
水道のネットワーク化や地下鉄の敷設などさまざまな理由により、
近代の洪水被害は、広範囲に深刻化するようになったのだとか。
19世紀以来、街並の美しさと近代性をほこってきたパリ
日本人にとって最も馴染み深いヨーロッパの都市だと思うけれど、
この部分を読むと、そのパリがまったく別の面から見えてくる。

後半は、紀元前1世紀から現在までのパリの洪水史。
印象的なのは、ちょうど一世紀前、1910年1月の大洪水だ。
ドキュメント風に語られたこの部分は、読み物としてもすごく面白い。
政府、軍隊、ボランティアが総動員で献身的に事態の収拾にあたる一方で、
陽気なパリ市民は、モンマルトルのキャバレーやダンスホールで
日々を楽しむことも忘れなかったし、
晴れ着をきて、セーヌ河畔に「一生に一度の大洪水見物」に出掛けることにも、
さして良心の呵責を感じなかったようだ。
災害の話なのに、そこここにユーモアが漂っており、おもわず笑ってしまうのは、
セーヌ川の流れがそもそもゆるやかで、
洪水が深刻化するまでの間に、ある程度の備えが可能だったからだろうが
(だから死者も一人しか出なかった)、
ある部分は、やはりタフなパリジャン・パリジェンヌの明るさのおかげと、
それをたんたんと語る筆者のクールな語り口によるのかもしれない。

そんなこともあって読了感は爽やかだ。
河川ルートや河岸、橋、洪水ポイントをおさえたマップ類や、
年表、統計データなども充実している。
資料的な価値も相当に高いが、平易な語り口と、
珍しい洪水シーンをおさめた数々の写真のおかげで、
専門的知識の有無を問わず、楽しく読める本になっている。
新たな視点でパリの街を見ることができたのが興味深かったし、
そして何より、このテーマの書籍は本国フランスでも出されていないというから、
そのパイオニア精神には敬意を表さなければ――
というわけで、個人的には★5つ。
いつかパリに行くことができれば、セーヌ河畔をじっくり観察してみたい。



アイオン(AION) プラスセーヌ R ブルー

以前から利用しており数年利用しても問題なくよく水分を拭き取ってくれます。以前のは無くしたためリピート購入です



セーヌ川のジャズ

ジャケット裏にMilt Jackson, pianoとあるのを見て、vibesの間違いだと思った。テナー、ヴァイヴ、ベース、ドラムスというピアノレス・クァルテット。かっこいいにちがいない。期待してプレーヤにかけたら、ちゃんとピアノがきこえる。それじゃJohn Lewisの誤植か。そう思ったら、ピアノソロが始まってびっくり。二本指ピアノじゃないか! バグスが大先輩ライオネル・ハンプトンの得意ワザに挑戦しているのだ。両手の人差し指だけで鍵盤を叩く、あのスタイル。
え、どっちが巧いかって? うーん、やっぱハンプでしょ。バグスも頑張っているしなかなかいいソロだけど、ときおり指がとなりの鍵盤をかすってしまうのが気になる。ハンプのすごさを知っているだけに、いまいちだなーと思う。
リーダーのバルネは快調そのもの。豪快さとゆたかな歌心を兼ねそなえた素晴らしいソロを聴かせてくれる。この時代を代表する名演といっていいだろう。ドラマーがケニー・クラークだったのも幸いしていると思う。ひかえめながら、名手ならではの巧みなサポートだ。曲目もジャンゴからモンクまでヴァラエティゆたか。どれもいい演奏だが、とくにオリジナルブルース(5)の味わいは捨てがたい。
そんなわけで、バルネを聴くには申し分ないお奨めアルバム。あとはピアニスト・バグスをどう思うかだ。わたしは面白がって聴いているけれど…。



世界遺産 フランス編 パリのセーヌ河岸/モン・サン・ミッシェルとその湾 [Blu-ray]

内容が良かった。但し、画質は今一歩で本来の景色の良さを表現出来ていない感じがする。



パリとセーヌ川―橋と水辺の物語 (中公新書)

本書は、ガイドブック、文学作品、絵画・写真などに描かれたパリセーヌ川に触れながら、19世紀半ば以降、なぜ世界中がパリに注目したのかを解き明かしている。
「プロローグ」の後、「川を通過する」「運河に生きる」「川を楽しむ」「川を描く」「川に死す」「橋を架ける」と6章に分けられ、様々な視点からセーヌ川の姿を描いている。
フランス文学が専門の著者だけに、バルザック、フローベール、ゾラから、ウジェーヌ・ダビ、レオ・マレ、ジョルジュ・シムノンまで、彼らの作品の中で描かれた多様なセーヌ川を、その作品を引用・紹介すると同時に、そういった時に現れる作家の個性にも言及している。
また、祭りにおいては、水上槍試合やボートレースが開催され、釣りや水浴(現在は遊泳を禁止されているとのこと)の場としても利用されてきたとのこと。この傾向は現在でも続いている。2002年以降、海辺にヴァカンスに行けない人のために、セーヌ川の岸辺を「パリ海岸」と名づけ、椰子の木・パラソルなどを設置して「コート・ダジュールさながら」の風景を人工的に作って楽しめるようにしている。パリ市が中心となって企画したもので、年間300万人以上が利用しているらしい。こういった行政サービスがあるとは、うらやましい話である。某都知事には、フランスの数の数え方を云々言う前に、これ以上のアイデアを出して欲しいものである。
絵画・写真など視覚的な資料が多数紹介されていることも、本書の大きな魅力の一つ。カラーは冒頭の口絵4ページのみだが、モノクロとはいえ、実に多くの図版が掲載されている。
20世紀初頭のパリの魅力は知っていたが、それ以外の時期のパリも実に魅力的だと改めて感じた。



セーヌ河クルーズ 2013.8.14


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