雑誌に掲載済みの短篇が三つ、そこへ表題作の書き下ろし中篇を加えたシリーズの四巻.
三巻までが二度復刊されているのに対し,この巻は前回の復刊時に新たに出た続きの巻で,
そのため,
07年08月の刊行以来,ハヤカワ文庫からの今回が初の復刊ということになります.
短篇については,地上でのエピソードなど,どちらかと言えば番外篇のような雰囲気で,
登場する某アイドルもどきらに,これらの発表された00年前後という時代を感じながらも,
そこから10年以上経っている現在も,彼らが現役ということに妙な驚きを覚えてしまいます.
中篇の方は,ガールたちの活躍や,トラブルと大胆な解決策と,これまでの三冊に近く,
本作の発表時(07年)には,まだ宇宙をさまよっていた『はやぶさ』をモチーフにした篇.
その後,方法は異なるものの,『本物』の方も帰還に成功しているのが感慨深いところです.
短中篇ということもあり,よく言えば軽め,逆に言うなら少しの物足りなさはありますが,
多くの人との出会い,また空から地上の人々や暮らしに思いをはせる主人公の姿が印象的で,
宇宙飛行士となり,数々の困難を乗り越えてきた彼女の成長が伝わるよい場面となっています.