嶽本さんの作品が好きで見た作品でした。確かに皆さんが言った通りセリフが少ないし場面がわからんと言うところもあるのかと思いますが、私は大好きな作品。高校の時に見たのですが、綺麗な映像と大好きなお洋服となんとも言えない切なさと言うか…最後には泣いてしまってました。
これこそがオイラにとっては正当派のロックンロールです。その昔「ロックってのはね、みんなで立ち上がって手拍子しながら乗らなくっちゃ!!」と、レッドツェッペリンの「ロックンロール」のコピーをバックに唄いながら、最前列ど真ん中で座っていたオイラのことを尻振りダンスで挑発してくれた某女性シンガーが居たが、オイラはその「ロックンロール感」が嫌で耐えきれなく会場の一番後ろに退散した。奇しくも本作でアマリリスは「ロックンロール」をモチーフにして、「お父さんアモーレ」と言う作品に昇華し我々に提示してみせた。何事にも捕らわれない自由な表現。権威なんてものは存在しない、利用するものは利用してやるんだ。一見クダラナイかも知れない、世間一般では鼻つまみ者かも知れない。しかしそれこそがロックンロール。ロックンロールなんて世間一般に嫌われてナンボです。その思いを更に強く再認識させてくれる「アマリリス名曲大全集」リニューアルしてもやはり名盤は名盤です。
たいへんな力作です。最近の邦画の中では群を抜く出来の良さです。
良いと思えるところはたくさんありますが、何といってもギャグが秀逸です。海外のコメディ映画にも全く負けないくらい、とにかく笑えます。10~20代の方なら、まず間違いなくこの笑いを楽しめるでしょう。監督のギャグセンスの素晴らしさを感じます。
この監督のセンスの良さは、笑いだけでなくキャスティングにも現われています。主人公の桃子の役に
深田恭子を当てたのは、まさに正解だったと思います。幼い顔立ちにロリータファッション、マイペースでおっとりした性格のイメージ。この上なく役柄にぴったりでした。一方で
土屋アンナも熱いヤンキーを無理のない自然な感じで演じていて、不器用さ(頭の悪さ?)をもろに出しながらも、とてもかっこいい。結果として、性格も価値観の全く対照的な2人が見事にできあがっています。
この2人以外にも、希木樹林や
阿部サダヲ、宮迫博之といったマニアックな顔ぶれが揃い、彼らの強烈な個性も遺憾なく発揮されています。不気味なくらい面白いキャスティングです。
しかしそれ以上に素晴らしいのは、個人主義の浸透しきった現代に生きる思春期の若者の心の動きが、それなりに丁寧に描かれていることにあります。つまずきや悩み、何かに向かって熱くさせる若さのエネルギー、性格や価値観の違いを超えて互いを理解し、関わりあってゆく姿。本当に良質な青春映画だと思います。単なるお笑い映画で終わらないこの点が、もっとも評価できるところです。
100分ちょっとの長さなのにストーリーは濃く、クライマックスの盛り上がりなどの作りも本当によくできています。設定上これはありえないんじゃないの?って思う瞬間もありましたが、コメディドラマであることを考えれば許せるでしょう。文句なしの5つ星作品です。