自由がなくなり独裁が全体主義を敷き、都合の悪いものを圧殺しようとする時に、何が起こるのかを描いた文句無しの名著。 共産主義的全体主義体制のキューバから、主人公が金で自由を買うことのできる資本主義のアメリカ合衆国へ出国できているために、ある種のディストピア文学としての読み方もできることが興味深い(ディストピアの外もまた失望せざるをえない場所であることを示していることも含めて)。 個人的にはアレナスがカストロのキューバを賞賛した経歴のあるガルシア=マルケスを徹底的に毛嫌いしていることが面白かった。 マルケスに対する「安っぽい人民主義」という批評は見事。 いっぽうで、アレナスが絶賛すJLボルヘスに興味が湧いた。 ラテンアメリカ文学のさらなる深みへと誘い水となる読書となった。
~信じられない程の美しい海、空、森、自然を持つキューバで、かつてこんな革命があったなんてなあ。。。。人間の歴史ってすごいなあ。。。黙祷。
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レイナルドは何故執筆するのか、に対し「復讐だ」と言い、同性愛は「武器」だと言った。母の懐よりも「自由に対する誇り」という苦難の道を選んだ彼の死に様までも、とても美しかった。崇高な感じがした。実際のレイナルドは知らないけれど、素敵に描かれていると思う。それぞれ一つ一つの場面場面が全て美しく、印象的な映像に構成されていて、時折添えられ~~る詩の表現力にも感動できる。
ショーン・ペンと、さすが
ジョニー・デップの名演技!が観れるのもかなりオイシイと思います。~
共産国家では、国民は監視する側とされる側に二分される。監視される側は、
カンボジアが典型だが、虐殺されることもある。殺されないだけ、生きていけるだけ幸せという状況が待っている。こうした狂気の国家は、ソ連から始まり、中国、北朝鮮へと続く訳だが、そうした国で作家がどういう運命を辿るのか、一種の典型例としてこの本は教えてくれる。今もなお、キューバや北朝鮮では国民が奴隷労働させられているのか、と考えると、一人の体験談だが、読後感は余りにも重い。