著者の6冊目は、全2章全26話で描かれた初のオリジナル一般作な表題作長編『テスタロト』第1部の第3巻な、『教皇派の章』の最終11話および第2章『マテリアの章』の第7話まで。
ほか、後描き漫画『非日常的日常』2頁。
この巻では主に『マテリア』についての謎が語られます。今まで名称としてなら散々語られたものの、その実態が全く以て謎だったマテリアの真意が徐々に明かされてゆきます。
また、黒幕たちの真相も明確な形をとって描かれ出します。
そして、右目の下にルビーのピアスをして左腕に奇妙な生物のタトゥーを施した妖艶な美女『マルチナ』という重要人物も新登場します。
物語の方向性はそのままに、天真爛漫にして純粋無垢で、ある意味『菜々子さん』以上に天然無防備なのに、その実、誰よりも芯の通った鉄の意志すら幼きにしてすでに身につけた、慈愛あまねく女神にして真っ直ぐ少女ルチッチの心意気が眩しすぎて、ノックアウトな私です。
そしてまた、鉄の意志で心を
鎧い殺戮の鬼と化すレオニダスの、その背に悪魔を見たものと、慟哭を見たものの、二人のヒロインの感受性の受け皿の違いが浮き彫りになり、その後の運命すら予感させてくれます。
仲間の生き方を鼻で笑って切り捨てた少年は、境地で彼を模倣することにより活路を見いだしたり。
あまりにも主要キャラ同士の運命の糸が繋がりすぎてる部分が見えすぎてしまってて、もう少しだけ突き放したところから偶然性も加味して組み立てた方が、より、ひとつひとつのドラマティックを輝かせたと個人的には思うのですが、想いのドラマで突き進む展開力は、澱みなく抜群。
1巻から世界観をきっちり造り込み、キャラひとりひとりの生い立ちまで遡るところから築き上げたリ
アリティーの高い心情描写が物語の厚みを高めてて、ミゴトと言うしかほかにありませんでした。
非常に優れた、中世風ガン・アクション・ファンタジー。宗派によるそれぞれの正義が対立する世界で、自らの立場を堅持しつつ悩み、苦しみ、闘い続ける登場人物たちに深く共感します。麗しさと埃っぽさ(というか銃の硝煙?)が両立した絵柄も素晴らしい。巨大なショットガンを自在に操る主人公レオニダスを始め、『
宇宙戦艦ヤマト』の沖田艦長を彷彿させるガリンシャ審問官、純な尼僧カプリア、冷徹美少年ジノラ、天然少女ルチッチ、粋な姐さんマルチナ等々、誰でも1人はお気に入りのキャラがいるんじゃないかと思います。
これほど感動した漫画に出会えたのは本当に久しぶり。続きもおすすめです。というか、読まずにいられません。