60年代の
香港を舞台にした青春群像劇。キャストがきわめて豪華であり、どの配役も磁石で吸いつけられたようにはまっている様は見事。最初のジャングルの場面からフラッシュバックしていく構成もいい。この作品で特に素晴らしいと感じたのは「時間」というきわめて抽象的な事柄を鮮やかに感じ取らせる力をもつこと。過ぎ去った時間はけして戻ることはないという眩暈のするような喪失感を感じさせる一方で、青春の日々をもう一度目の前に組みたて直してもらっているような、なんとも不可思議な感情を味わった作品だった。きわめてレヴェルの高い、ある意味哲学的な映画ではないだろうか。
映像のスタイリッシュさが語られる事の多い本作品ですが、ロマンチックさがこの作品の最大の魅力だと思います。日本映画ではありえない程のキザでロマンチックなせりふのオンパレードですが、それを恥ずかしく思わせないウォンカーウァイの演出は見事です。豪華な役者陣とクリストファードイルの撮影テクニック、時代設定を60年代にもっていったねらいがずばり的中しています。
こんなにロマンチックでスタイリッシュなラブストーリーを撮れる監督は現代ではウォンカーウァイしかいないでしょう。
素敵な女性と一緒に見る時には是非おすすめの映画です。