浜尾四郎は戦前に検事から
弁護士になり貴族院議員まで務めた人物。
若くして亡くなられたので作品数が少ないが、「殺人鬼」なんかは
映画化、ドラマ化などされればヒットしたであろう内容なのに知名度ないのが惜しい。
本の大半を占める「殺人鬼」(これだけで482ページある)、グリーン家殺人事件から影響を
受けたと言われるこの作品は、日本にもこんな本格モノが日本にもあったのだと驚かされる作品。
ドグラ・マグラや黒死館殺人事件と異なり、純粋な本格モノとして今でも十分に楽しめる作品と
なっている。
短編の方はうって変わって、検事から
弁護士になったと言われる経歴の通り、法律に絡んだ作品が多く、
後の社会派と言われるような人々への魁となるような作品群になっている。
”法による正義とは何か?”を訴えかけるような作品が多く、
特に「殺された天一坊」は法による正義とは何か?、正義の為に法をねじ曲げて良いのか?、
を問いかける純文学にまで高められた絶品の作品となっている。