いいCDです。前作「天使の歌声(Voice of an Angel)」よりもいい。十代前半とは思えない訓練された美しい歌声です。リスナーが聞きなれている名曲は巧拙が気になるものですが、彼女は聞かせてくれます。2曲目「ラ・パストレラ(La Pastorella)」は迫力。彼女の才能は天からの授かり物です。オペラを身近にしてくれたシャルロット・チャーチ。「エンチャントメント(Enchantment)」でポップス寄りになってしまいましたが、個人的にはクラシック歌手として成長していってほしいです。今、彼女は思春期を迎えて、内外の葛藤と戦っているようですが、何とか無事に乗り越えてほしいものです。
天使の歌声で一世を風靡したシャルロット・チャーチのDVD版ベストアルバムです。既発売の彼女の音楽DVDは数種類あり、国内版輸入版ともすべて5.1ch収録されていて、本作品はその中の3作品から、ベストチョイスと言うべき17曲(映像特典込みで19曲)が収録されています。そして肝心の画質音質も水準以上で、小画面(17型液晶TV)でも大画面(115インチ
スクリーン)でも、破綻なく楽しめました。
2001年9月の故郷カーディフでのコンサートが中心ですが、幼児顔の6曲は99年3月の最初のソロコンサートから、レターボックス収録されている4曲は、2000年8月のエルサレム旧市街、ダビデの塔の特設ステージからのものです。それらは、オリジナルの素材と同等以上の良質なクオリティに感じましたが、順番がランダムなので少し戸惑いました(-1点)。それでも、ファンにとっては彼女の成長を(13歳から15歳ですが)映像付きで楽しめる、ベストアルバムだと思います。なるべく、これからもクラシックで!
シャルロット・チャーチのベスト・アルバムです。彼女が若干12歳の時にリリースした『天使の歌声』は本国イギリスだけでなく、クラシックの声楽アルバムとして異例の全世界で300万枚以上売れました。それだけ魅力ある歌声だと言うことがよく分かります。
ボーイ・ソプラノは、どうしても硬質のイメージがありますが、少女のソプラノは、もう少し柔らかい響きを兼ね備えています。『天使の歌声』という形容がまさしくあたっている歌姫の誕生です。12歳の歌唱力とは到底思えないほど、ソプラノ歌手として成熟した完成度を持っていましたね。
彼女の名声を確立したA・
ロイド・ウェッバーの『レクィエム』から「ピエ・イェズ」を聴いてください。20年前、サラ・ブライトマンのソプラノを聴いて感動したあの歌声に勝るとも劣らない名唱だったと思います。透明感溢れる清楚な歌声は、この曲のイメージそのもののソプラノでした。
カール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』から「私の揺れ動く秤の上で」のゆったりとした伸びやかな歌声に将来のソプラノ歌手としての大きな可能性を見出しました。オーケストラをバックに声が浮き出る高音は、特筆ものです。
有名なカッチーニの「天使のパン」の高音の美しさは、世界を魅了した理由がよく理解できる透明感あふれる歌唱でした。
フォーレの「タントゥム・エルゴ」は、国内初CD化のものでした。このような敬虔な宗教曲を歌うほうが、彼女の声質にあっているような気がします。
「ハバネラ」を選曲したのはまだ年齢的に早いかな、と一瞬思いましたが、ギター伴奏のアレンジがよく、よい雰囲気を出していました。メゾ・ソプラノの曲も十分歌えます。大人の歌手への脱皮を果たしつつありますね。
現在、19歳になったシャルロット・チャーチは、アメリカに渡り、ミュージカルや映画の世界に進出しています。将来どのような歌姫になるのでしょうか。本当に楽しみです。