映画版の「白い巨塔」は時間的制約から原作を一部変えて、短縮せざるを得ないが、それでも田宮二郎・田村高広のコンビは主題をきっちり押さえている。財前助教授は東教授の妬みから、すんなりとした教授選にはならない。財前の舅又一や鵜飼医学部長らは、裏で金と陰謀を使って、患者をそっちのけにしている。そんな中で一般保険患者である佐々木傭平は財前の術後診察を一度も受けられずに死んでいく。一方、出世には全く無欲な里見助教授は患者を第一にする正義感。教授選の応援を頼みに来る財前に、患者佐々木を診てくれと頼む。それでも教授になる事しか頭にない財前五郎。
田宮、田村とも演技力抜群だし、東野英治郎、加藤嘉、藤村志保、小川真弓らが脇もしっかり固めている。中でも圧巻は大河内教授が自宅に届けられた現金を蹴飛ばすシーン。ばらばらになった現金をかき集め早々に逃げ出す又一は、お代官様に小判を届ける悪徳商人という感じ。(悪代官なら「おぬしも悪よのう」とかいうところか・・・)裁判になって、原告側
弁護士の奮闘にも関わらず一審敗訴。これは当時の医学界の圧力があったとかなかったとか社会問題にもなったが、残念ながら映画はここまで。辞表を出し、大学を去って行く里見助教授が見上げる文字通りの白い巨塔の中では、医局員や看護婦達を引き連れての大名行列さながらの財前教授総回診が続く。医学は進歩しても、医道は進歩しているのだろうか?35年前の映画が今でも新鮮に観られるのは、医学界の問題が解決されていない証ではないだろうか?
田宮二郎版と比較するのはあまり意味がない。低迷していたテレビドラマ界に喝を入れ、視聴者に「まだまだ捨てたもんじゃない」と思わせただけで十分評価されるべきだ。バラエティー専門に成り下がっていたフジテレビの底力を見せてもらった。二匹目?のドジョウ「華麗なる一族」とは製作側の気概が全く違う。役者不足の現在を露呈してはいるが、このキャスティングが今のところベスト。その中でも石坂浩二の演技力に再びスポットを当てた点は大きく評価できる。何回鑑賞しても面白い傑作です。
ドラマを見ていたときの記憶がどんどん聞くことによって映像として思い浮かべられるくらい聴き応えがある。クラシック音楽が入っているのがはじめ気になっていたがこれもまたはまってる。”アメイジング~”が聞けるのがよい。歌詞の”nou eye see~”がいいねぇ。