“どうも、
犬塚弘です。本名はイヌヅカヒロムと読みます。“ハナ肇とクレイジー・キャッツ”のベースを担当しております。舞台俳優でもあります。映画にも出ています。芝居の若い仲間たちから「
犬塚さん、ミュージシャンだったんですか?」と聞かれることもあります。そういうとき、決まってこう答えます。「ぼくは今でも、クレイジーのベーシストだよ」と。”
―――本書巻頭「前口上」より
これだけでもう、胸がいっぱいになる方も少なくないことだろう。
2011年1月から2月にかけ、佐藤利明さんが
犬塚弘さんに行なった超ロング・インタビュー―この際、
講談社で撮影された写真も本書には掲載されているので、当初から単行本としての出版が前提としてあった企画なのかもしれない―を文字に起こしたものをもとに、佐藤さんがさらに
犬塚さんと対話を重ねつつ、文章にまとめて行く………という過程を経て、できあがった本書。
2013年1月から3月まで、東京新聞夕刊に連載され反響を呼んだという『この道/
犬塚弘 最後のクレイジー』に、さらに大幅に加筆を行なったものだという。
まず、表紙を開いてすぐ眼に飛び込んで来る、クレイジーのメンバー7人が揃った写真。
これがなんとも、素晴らしすぎる。
いわゆる「クレイジー・キャッツの集合写真」ときいてイメージされるものとはまったく違う、それでいて、クレイジー・キャッツというグループのコアな部分を十二分に伝えて余りある一枚だ(裏表紙には、クレイジーのメンバー7人が全員出演した最後の映画である『会社物語』の時のスチールが…)。
犬塚さんといえば、音楽の世界に飛び込むまでのユニークな経歴も興味をひくところだけれど、本書では、触れてはいるけれど本当にサラッとで、あとは戦後空前の
ジャズ・ブームの中、ふとしたきっかけでウッドベースを手にしたことから始まった、その激動の60年とちょっとの歩みを、軽妙な語り口で一気に読ませてくれる。
特に『おとなの漫画』や『シャボン玉ホリデー』などの臨場感あふれるスケッチを通して、クレイジー・キャッツが「笑いの要素もある
ジャズ・バンド」から「日本を代表する7人のエンターテイナー」へと変貌を遂げてゆく様子を、リアルに感じ取ることができる。
あちらこちらに意外な人物、意外なエピソードが思いがけず登場して度肝を抜かれたりもするが、それは読んでのお楽しみ、ということにしておこう。
ひとつだけ、多忙を極めていた時期、植木さんが他のメンバーにかけたという言葉を引いておく。
「みんな、俺たち、これだけ一生懸命働いているけどな、どんな仕事をして、どれだけ頑張ったか、それだけは覚えておこうよ。嫌なこと、理不尽なこともあるけど、ちゃんと根に持っておこうな」
―――本書P.174より
「恨みを持つ」のではなく「根に持つ」、という考え方、そして生き方。
もしも心にそのことをしっかりと置いて生きて行けたら、もっとラクに生きられるのかも……。
ページが残り少なくなるに従って、じんわりと泣けてきたりもするのだけれど、それは、
犬塚さんの大切な人たちが少しずついなくなってゆく、その喪失感とはまた違うところから来るもののようで、クレイジーのメンバー7人の、今でも固く結ばれている絆が、
犬塚さんの言葉を通して、しっかりとこちらに伝わってくるからかもしれない。
そして、これまでいまひとつハッキリとはつかめなかった、クレイジーの中で
犬塚さんが果たしてきた役割。
これもまた、この本を読むことで、少しずつわかってくるかもしれない。
最後に。
ベーシストの
犬塚さんがいらっしゃる限り、クレイジー・キャッツはこれからも存在し続けることでしょう。
どうかお元気で、長生きしてください。
きっと、すべてのクレイジー・ファン、心の底からの願いです。
※他にも“クレージーキャッツ”等の表記がありますが、本稿では本書の表記に従い“クレイジー・キャッツ”と記しました。
初めて出会ったのは8年前。クレイジーキャッツの音楽センスに驚かされるばかりか、曲にあわせた振り付けに「まるで打ち上げ花火を始めてみた子供」のように感動しました。あれは誰が振付けたのでしょう?今でも時々「もしも10億円あったなら・・」を思い出しては、もう一度ビデオを見たい。我が物にしたいと願っています。
伊豆のホテルにて行われる麻薬・宝石・金の延べ棒の闇取引に使う暗黒街総会の商談費用=10億円の悪銭を強奪すべく、即席の義賊団が結成された。はてさて、どうなることやら・・・ねぇ・・・?
『大冒険』の成功に気をよくした東宝+渡辺プロは、アクション喜劇に再挑戦。
笠原良三&田波靖男氏の師弟コンビに池田一朗氏・坪島 孝監督・小林信彦氏{ただしノークレジット}らの合同協議の末に、田波氏が一本化で執筆。それを、古澤憲吾監督が意地で映像化した映画である。
今回はクレージーの主人公達[看守の1人を除く]が犯罪者と、キャラクター的には攻撃的な印象が強い。また作風も、池田氏&坪島監督が参加した東宝の『暗黒街』&『国際秘密警察』シリーズの雰囲気が漂っている。
特に
金庫室の格闘シーンは、東宝喜劇路線らしかぬ迫力。ワイルドな植木 等氏と谷 啓氏には、血肉沸き踊る迫真さがあった。
また要の10億円強奪シーンとクライマックスの追いかけっこシーンは、パワフルな古澤監督の真骨頂で最後まで飽きさせない。山本直純氏が担当していた公開当時の人気番組である『マグマ大使』調の
ジャズサウンドも、気持ちがよく鳴り響いている。
また『トルコ行進曲』をモチーフにした音楽コントも、芸が細かく見応えがある{特に桜井センリ氏に注目!}。
さらにこの映画の特筆点は、坪島監督の間接参加。自ら「人に影響されやすい」と言っていたが、この映画にて古澤監督の独自技法〔空撮カット・天井カット・移動撮影・・・そして人見 明氏〕を目の当たりにしている。これらは、後の自らの監督作にも多大な影響を出していく。
「大アクション喜劇」の『大冒険』から飛躍させて、『クレージーの怪盗ジバコ』・『クレージーの大爆発』の系譜になる「犯罪アクション喜劇」という新しい可能性を提示させた本作。
ここは勢いよく、ブワーッと暴れようぜ!!
以前、同様のものが発売になったときは、放送禁止箇所の歌詞のある「シビレ節」が加工されて変な状態でリリースされていた。
大好きな曲なのに、その箇所に来るたびに違和感を感じ、いつのまにかその曲自体を飛ばすようになっていた。
むか〜し、大滝詠一がクレージーのドーナツ盤レコードの復刻版をリリースした時は入っていたあの「単語」だが、CDになったとたんに聴けなくなっていたのが悲しくてたまらなかった。なぜならくだんのCDアルバムはもう、「完全版」といっていいほどクレージーの曲を網羅していたから、もう今後一切彼らの歌集はリリースされないとあきらめていたのだ。
それが!!それが今回、懐かしきあの「単語」がすんなりオリジナルの状態で聴けるなんて、夢のようであります!
生きててよかった!!!
「シビレ節」の完全系をCDで聴くのに「15年」もガマンしてたんですよ!15年っ!!!(TдT)
ありがとう!!!関わった
スタッフのみなさん!
むかしカセットテープを裏で入手した「五万節」オリジナルバージョンも入ってて、これも泣けました。
もう、全部いい!!100点!!!