前半は、’30年代の
上海を退廃的に美しく描いているのですが
後半は、ギャング同士の抗争が激化したため、離れ小島に身を隠すんです。
一転して、のどかな田舎風景になります。
はすっぱで感じの悪いコン・リーが次第に、寂しさや優しさを見せていきます。
コン・リーと少年、そして島の少女が湖畔で歌を歌うシーンは、とても情緒的で
黒い社会とは対照的に無垢な美しさを見せてくれました。
上海マフィアで支配力を誇る唐一族。
その党首の愛人をコン・リーが演じる。
田舎から都会に出てきた水生の目を通して、
彼のみた人間の壮絶なまでの欲と裏切り、権謀数術と殺し合いの
世界を描く、人間の業、悲しみ、欲、エゴイズムを描ききった傑作。
緊張感、人物描写、中国
上海世界、権力闘争、裏の世界の
どろどろした人間像。暗い時代背景の上に、魔都、
上海という大都会を舞台に、マフィアの親分、子分、
宋一族との縄張り争いの波間に生きる悲しい群像を、
芸術性高らかに描ききります。
今まで観たイーモウ作品の中では、一番の完成度では
ないかと思い、大変お気に入りの一作です。