第1番は1984年、第2番は1985年の録音である。
これは、ツィマーマン氏が30歳間近、バーンスタイン氏が急逝する5年前の作品となる。
若さ溢れる演奏でありながら、卓越した技術と音楽性がブレンドされ、
既にヴィルトゥオーソとしての風格が出始めている演奏だ。
これをバーンスタイン氏がさらに昇華させており、
一つの芸術作品としての存在感を示している。
若い頃の演奏を改めて観て感じたが、彼の音楽性はブレないように思われる。
それは、彼が音楽に対して真摯にそして一切の妥協を許さず向き合っている証拠である。
今なお進化し続けているのは、彼の根幹にこれが存在するからなのだろう。
第1番に関しては、ラトル氏指揮で21世紀に新たな録音をしている。
(
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番)
こちらもぜひ聴いてほしい。そして、彼の進化を実感していただきたい。 By雪
「ロマン派の作曲家の中でブラームスほど変奏曲の作曲に強い関心と意義をみいだした作曲家はいない。変奏曲および主題の変奏の技法はブラームスが古典的な作曲技法の継承者であることを象徴しており、動機や変形や展開は彼のまさに作曲手法の核心であった」。
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)についての本。どちらかというと貧しかった両親の元に生まれ育ったその生い立ち。成長、そして苦悩。クララをはじめとするシューマン一家との交流。アガーテ・フォン・シー
ボルトに対する婚約破棄。バッハ、ヘンデル、ベートーヴェン音楽の研究。実は当初はワグナーの音楽に強く惹かれていたこと。リヒャルト・シュトラウス、ブルックナー、ドボルザーク、チャイコフスキー。数多くの出会いや反目。オペラを作曲していない負い目。作品に対する賛否両論。高まる名声。愛国主義者の一面。
それぞれの作品がどのような人生の節目や背景において生み出されたのかに詳しい。また、このシリーズは他の作曲家を扱ったものもそうだが、作品解説や作品一覧が大変充実している。ブラームスはこういう人だったということだけにとどまらず、クラシック音楽発展の流れの中でこの芸術家が果たした役割を再確認し、その音楽の本質に迫ることに重きを置いた内容になっている。
ムラヴィンスキーの貴重な映像であるが、映像にはノイズも多く音声もモノラルである。しかし、そのような事は見始めてから1分で気にならなくなる。それほどムラヴィンスキーのカリスマ性は素晴らしい。
あの目で睨まれたら、奏者はビビッてしまうこと間違いなし。ただし、ほんの一瞬浮かべる笑顔に人間らしさもうかがえ、「ひょっとしたらこのおじさん、優しい人なのかも。」と思ってしまう。
以前、LDでチャイコの5番(ゲネプロ?)がでていたが、このDVDに収められているのは別映像のコンサートのライブである。時々、会場の無意味な長写しなどあり意味不明な点がご愛嬌。