最後の下巻まで読んで本当に良かった。 これ程、第二次大戦に従軍した陸軍兵士の苦難と悲惨をまざまざと描いた作品に出会ったことはない。 上巻から下巻まで腑をえぐられる思いで読んだ。 究極の状況に置かれた人間の精神はどうなるのか。野獣のような憎むべき卑しさ、残忍さはしょうがないのか。理性や優しさを保ち続けようとしても、最後は失望の果てに自棄に陥り、どうでもよくなるのか。 人間とは何か、そして、60年前と言えども同じ日本の陸軍を形作った我々日本人とは何かを考えさせられる。
第一部に続いて第二部も一気に見せてくれます。伍代俊介と標耕平が成長してきたので,前作でのロマンスに彼らの分も加えられメロドラマ色が強くなっています。さらにサスペンス絡みの場面もあり,興味深く見ることができます。いくつか気になる点を書くと,まず,第一部の終わりで高橋英樹の前で爆弾が破裂し彼の姿が見えなくなった(これは第二部のオープニングでも出る)ので,どうなったのかと思っていたら,怪我もなく変わらぬ様子で登場した点。これでは,前見た映像(演出)は何だったのかと思ってしまいます。意味がないですね。それと佐久間良子の演技(台詞)が,ある場面では過剰気味に見えました。女性(人妻)の心の揺れを表現するためなのか分かりませんが,思わず笑ってしまいました。あえて,そういう演技(台詞回し)をさせたのかもしれませんね。こういう気になる点も,自分には楽しみの一つとなっています。第三部へはどうつながり,どう完結するのか興味が尽きませんでしたが,第三部は第一・二部とは別物のようになっていました。三部作全てをご覧になった方には分かると思います。
商品は良かったのですが 少し値段が高いかんじです 中古品があれば 中古品でもよかったかと あとで気が付きました
この本を読みながら、僕は胸を抉られるような思いがした。日本が先の大戦において中国を侵略したことは百も承知だが、この本の中で描かれている、日本の非道で残虐で腐敗した植民地支配の実態を見ると、本当に愕然とさせられた。あの時代は中国民族にとって屈辱の歴史であったとすれば、我々にとっては日本民族の歴史上の汚点と言って良いのではなかろうか。
当時の日本全体を横溢した不条理な精神主義、合理性や規律を欠いた日本軍、同じ人間として見做さなかった中国人に対する扱い。「あれは戦争だったのだから仕方がない」の一言では済ますことは出来ない。何故日本はそのような道を歩いたのだろう。我々は加害者であった。それもそんなに昔のことではない。今も存命の方も多くおられる。秘めておきたい日本の過去かもしれないが、日本人として知っておかなければならない恥部でもある。
1970年作品、昭和戦後を代表する娯楽大作映画として映画ファン必見の作品、東京オリンピック後の邦画衰退期、最後の打ち上げ花火のような大河ドラマです、山本薩夫らしい分かりやすいキャラクター造形と豪快な演出は現在見てもよくぞ作ったと誰もが感心できるでしょう、この第一部では浅丘ルリ子・松原智恵子の美貌が光ります、
特定の主人公を設けずに多くの出演者を無尽に投入することで映画自体に物語を語らせるという理想的な王道映画、よってどの人物に感情移入するかで面白さの度合いや興味深さは人それぞれ、語り尽くせない映画ともいえます、
本作で語られる歴史観はまっかっかの大日本帝国悪玉史観なのですが、評者のような大日本帝国支持者が見ても特に違和感がないのは語り口が実に冷静なためです、例えば中盤のシーン、南原弘治演じる左翼シンパが「財閥は100円の賃金を払うところを50円しか払わずに財を成した」と言った後に、滝沢修演じる当の財閥当主が「年をとっても貧乏なのは本人の責任なのだよ」と語る冷静さです、21世紀のわれわれは知っています、20世紀に多くの国が何の根拠もないのに100円の賃金は100円として国民全員に配る体制をわざわざ革命してまで作ったのに100年も持たずに崩壊したことを、
本作の冷静な語り口に比較すれば現在、大声で大日本帝国悪玉史観を支持者する者たちがいかに幼稚で視野が狭くなってきているかがわかるというものでしょう(当時には存在した勢いがなくなり、つまり化けの皮がはがれ、それだけ追いつめられているともいえるでしょう)、
要所要所に当時の歴史事象が字幕・ナレーション付きで説明される親切さなのですが、ある事件のときには某AKA党が「暴動指令」を出していたというのには苦笑い、そんな「指令」をだすような連中は何時の時代だって取締り対象でしょ、
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