著者が亡くなった年の翌年のすぐに出されたもの。藤本義一の作品は数多くあるがどれも絶版になっていたりして現在読めるものは意外と少ない。この本は特に重要な作品(
直木賞受賞作である『鬼の詩』や川島雄三との思い出を書いた『生きいそぎの記』など)が載っていて藤本義一の作品を読みたい人はぜひ読むべし。
1969年に発売されたLPを40年ぶりに復刻した「昭和アーカイブス
ジャズ・シリーズ」の1枚です。ハモンド・オルガンの奏者は
ジャズ・ピアニストの小曽根真さんのお父さんの小曽根実さんです。奥村英夫(b) と西野邦夫(ds)による小曽根実トリオによって当時日本でヒットした洋楽や歌謡曲を
ジャズ・アレンジしたものでした。
CD
ジャケットもリーフレット(LP時代のものを4つ折りしています)も当時の髪型やファッションをそのまま映し出していました。
当時人気番組だった11PMは、週2回は
大阪の読売テレビで収録され、その時のオープニング・テーマを演奏したのが小曽根実さん(9年間出演されたそうです)とのことでした。リーフレットには司会者だった藤本義一さんとの対話が掲載してあり、いソノてルヲさんの曲目解説が記載してありました。元祇園甲部の芸妓さんだった安藤孝子さんの着物姿がとても懐かしく感じられました。
肝心の演奏ですが、当時の歌謡曲やテレビの音楽づくりを彷彿とするような演奏です。悪くはありませんが、
ジャズというくくりより、ヒット曲のオリジナルの雰囲気を残しながら心地よく再現してみました、といった感じを受けます。40年と言う歳月の間に日本の音楽シーンの水準も変わりましたし、感性も変化しています。
コロンビアのアーカイブスシリーズですが、懐かしさを超えるものではありません。日常的に洋楽が歌謡曲同様親しまれたことを示す選曲ですし、当時の最新鋭のハモンド・オルガンの音色を楽しむものでしょう。クリームの「ホワイト・ルーム」とオックスの「スワンの涙」が1枚のアルバムに収められていることからも当時の音楽シーンのイメージが分かるでしょう。