いちばんきれいな水 [DVD] |
本作は一言で言ってしまうと、加藤ローサと菅野莉央のPVのような作品である。ストーリーそのものよりも、とにかく映像が綺麗なのだ。撮影監督は犬童組の常連・蔦井孝洋。篠田昇のような映像美、というよりも女優と水をキラキラに撮っているのがよかった。ウスイヒロシ監督ももともとPV監督の出身だし、カヒミ・カリィも含めた三人娘が「夢」の中にいるような雰囲気が素敵なのである。このホンならば、行定勲が撮ればワンワン泣ける映画になっていたと思うが、何となくスッキリしているのもBGVに向いている理由かもしれない。また、特典映像のスピンアウト小品「夏美のなつ」も良い出来だった。菅野莉央はすごく大きくなっていて、「セカチュー」の頃から見ると随分とオトナっぽくなったものだ。青木宗高が出ているのもびっくりだったが。こちらはららぽーと豊洲のユナイテッドシネマ開場記念として上映されたもので、超限定公開。DVDでないと観れないので、ぜひ。「映画鑑賞」というよりも「映像体感」というべき作品で、いわば「ジャケット通りのイメージ」です。星は3つ。 |
人間失格 1 (BUNCH COMICS) |
恥ずかしながら、原作である太宰治の人間失格は読んだコトがありません。 なので、何の先入観もなく一気に読んでみました。 人に嫌われまいと取り繕い、本当ではない自分を装うコトくらいは誰にでもある経験なのではと思います。 でも、ここに登場する主人公・大庭葉蔵の心の闇は、どこまでも限りなく堕ちていく底無しの闇。 何不自由のない裕福な生活を送っていても、一転してホームレス生活に陥っても、味気無い虚しいだけの日常を生きて行く。 生きる意味を探すのではなく、生きているコトにこそ価値があるとするならば、この主人公は屍も同然なのでしょう。 暗い気持ちにはなったけど、負のパワーを強烈に放つ魅力的な作品です。 早く続きが読みたい… |
ライチ☆光クラブ (f×COMICS) |
読み終わって、話を思い返して感じた事は、何とも言えないせつなさと、物語にちりばめられた、不思議な美しさです。 大人の存在と、その壊れた姿を、醜いと嘆き、僕達はもっと美しいと言ったその言葉が、非常に印象的でした。 グランギニョルは知りませんが、古屋氏が、ひかれた理由も、この漫画を通してではあるものの、頷けます。 怖いのも、陰欝な場面も、性的な部分が含まれているところも、何故か、くどく感じられず、すっ、と過ぎていくのに、頭には残っているから不思議です。 やっている事は残酷なはずなのに、どこか美しく思えるのは、童話に似ているかと。 とても、今までの漫画にはない衝撃的な内容ですが、 確かに、色々、包み隠さず見えている分、読む人は選ぶと思いますが、 グリム童話は、改編されたものより、初版が好き、と言う方にはオススメしたいです。 後は、男性同士の性愛や、臓物が飛び出す露骨な場面も、覚悟して読める、という方に。 |