死神の谷/フリッツ・ラング監督作品 [DVD] |
一般的な知名度は高くないが、映画史の中でも突出した傑作。
ファンタジックな愛のストーリーに重厚なドラマ、巧みな演出、いつまでも心に残るシーン。 どれをとっても今なお色あせることがない。 何より、無声映画ながら情感豊かであり、結末は涙なくして見れないだろう。 |
カリガリ博士 オールインワン・DVD-BOOK1 |
映画史に関する文献でおなじみのドイツ表現主義を代表する古典なので、あらためて作品の内容に触れるまでもないと思います。白黒サイレントの怪奇映画を愛するひとにとっては必見の名画。いま観ても美術と演出のディテールに特異な輝きがあり、大いに想像力をかき立てられる。
以前に発売された激安DVDの『カリガリ博士 新訳版』(500円)と、画質は変わらない。オリジナルのドイツ語ではなく、英語ヴァージョン。20世紀初頭の映画ということを考えれば、そんなにストレスを感じないで鑑賞できる程度ではないでしょうか。私見では、まあ許容範囲。日本語字幕は、ONとOFFが可能。 残念だったのは、付録の映画解説小冊子。そこに「新訳版」との差額分の価値があったとしたら納得するのですが、私には期待はずれの内容。映画館で売っている安手で貧弱なパンフレットみたいなものだった。参考にならないわけではないけれど、もっと読みごたえがある文章と豊富な図版をなんとなく想像していたので。 それから、小冊子とケースがちょうどおなじ大きさのせいで、DVDのケースのなかに小冊子が納まらないのは、保管するときに不便です。ちょっぴり小さめにパンフをつくればよかったのに。 |
カリガリ博士 [DVD] |
これが、ドイツ映画。不協和音と混沌とに満ちたサイレンス・ムービー。哀愁と静けさが世界を支配する。
ドイツのある村に訪れたカーニバルを観るために、主人公・フランシスと彼の親友・アランは出かけた。そこで、「カリガリ博士」と名乗る老紳士がひらく、「チェザーレ」なる夢遊病患者が予言をする、という見世物小屋を覗く。そこで悪戯心からアランはおのれの寿命を尋ね、チェザーレに「明日の夜明け」と言われてしまう。 翌日、フランシスはアランが亡くなったことを知る。アランはチェザーレの予言にあたってしまったのか? しかしながら実際は、カリガリ博士がチェザーレを使って、人々をあやめていたのだ。一人は役所の職員、一人はフランシスの友人・アラン、…。 アランの死に疑問を抱き動き出したフランシスを見咎めたカリガリ博士は、チェザーレに命令し、フランシスの思い人であるジェーンを殺すよう仕向ける。 チェザーレはジェーンに刃を向けるが、彼女の美しさに心奪われ、殺さずにいずこへと連れ去る。 しかし追手が迫り、彼女を置いて逃げ惑うが、途中で心臓発作に襲われ命を落とす。 一方フランシスは、警察と共に見世物小屋へと訪れていた。チェザーレがいるかどうかの確認のためである。しかし中にあったのはチェザーレを模した人形で、そのことがバレるや否や、カリガリ博士は村の中にある精神病院へと逃げ込んだ。 フランシスはその病院で、「カリガリという名の患者はいないか」と尋ねたところ、院長室へと案内された。患者の名前を知っているのは院長だけだという。院長室の扉をあけると、そこにいたのはまさしくカリガリ博士その人だった――。 ホラー、というよりかは、サスペンス。不気味さがどろどろと溶けだしているような、これを暗い映画館でじッと観ていたら、こちらが狂っていくような感覚を覚えます。 不自然な(悪い意味ではなく)カット、黒と白の混沌さ、随所に盛り込まれた悲愴さ。最後がこれまた、背中にぞわりとくる。想像はついたけれども、わからなくもない。人間は変わってしまう。おそろしいほどに。 |
カリガリ博士【字幕版】(淀川長治 名作映画ベスト&ベスト) [VHS] |
ドイツ表現主義の流れにあって、その映画化として成功している。というよりこの作品は舞台装置に表現主義が見られるからすばらしいわけではなく、不思議な不安感がストーリー全体を貫いており、ドキドキはらはらスリル満点の作品であって、昨今のサスペンスなどとは比べものにならない深い世界を含有している。精神病院を舞台に展開するのも興味深い。 |
カリガリ博士 [VHS] |
~あらすじ とある精神病院。患者アランが語り出す物語。カーニバルにやって来た、カリガリ博士が眠り男チェーザーレによる興行を行い好評をえるのだが、博士の真の目的とは。。 もともとは数時間在ったものを劇場向けに67分にカットされたものという。完全版は見ていないが、このカットは絶妙ではないかと思う。 ~~ 初めてみる人は背景の書割り(背景画)にも注目してもらいたい。表現主義による背景には、水平な直線がなく必ず傾いていたり曲がっていたりする。その視覚効果が幻想的な世界を構築する。カリガリ博士の手袋も印象的だ。~ |
カリガリ博士の子どもたち―恐怖映画の世界 |
本書はホラー映画の流れと分類を古典から詳しく分析した古典的な名著である。多くの恐怖映画作品が有機的に結びつけられて説明されており説得力がある。安っぽい映画ライターが書いた本も悪くはないが、本書をガイドブックとして古典作品に挑戦してみるのもよいだろう。もちろん新しい作品は紹介されていないが、著者の視点は古びてはいない。 |