未来惑星ザルドス [DVD]
ボルテックスというのは、共産主義体制が目指したユートピアのを具現化した社会か?
この映画が作製された当時は、東西冷戦の真っ只中。俗に言う西側が、東側の社会体制をユートピアの仮面を被ったボルテックスになぞらえて、エリート社会を多数の奴隷で維持していると揶揄している内容ですね。当時の東側諸国が国民を操作する手法や社会体制を劇中のストーンヘッド…ザルドスという名の神として奴隷支配に利用…に象徴しています。つまりは共産体制は見せ掛けだけのユートピアであり、内外へのプロパガンダで維持している。そして、その政府は“オズの魔法使い”でしかないという比喩です。
字を覚えた主人公のゼッドが、廃墟の図書館で本を読み漁り、ボルテックスの核心を知るきっかけとなった本に出会います。この本が『オズの魔法使い』...Wizard of OZ... 本の表紙がチョイと破れていて、..zard..oz になっていたシーンでは感動してしいました。
SF映画としての撮影はお粗末ですが、映画の内容自体は名作の部類に属すると思います。
未来惑星ザルドス [DVD]
冒頭から実にシュールであり、人を困惑させる。
しかし、本質は極めて理知的であり、物語は謎解きの面白さに満ちている。
劇場公開時は特殊用語の字幕の翻訳がメチャクチャでこれでは、映画を理解できる人がいたとは思えない。原語に戻って理解する必要がある。
しかし、この映画はそうした手間をかけても理解する価値があると思う。
新化とは? 死とは?
この哲学的命題にこの映画はひとつのヴィジョンを見事に示している。そして、「2001年宇宙の旅」への見事なアンチ・テーゼになっているのである。
未来惑星ザルドス [DVD]
個人的な評価は★3.5個です。
SF要素はあるけど、科学的要素は非常に少ない映画です。
でも、まあまあ楽しめます。
序盤の特撮は合成バリバリで、少しやらしい作品ですが、それなりにSF思考が楽しい。
しかし、ショーン・コネリーは今や「渋いじいさん」のイメージが定着していますが、それのみのイメージを持っている映画ファンの方が本作を観賞するとどう思うのでしょうか?
かなり大人向けのSF映画です。
派手なSFではないので、「スローターハウス5」みたいな思索的なSFをお好きな方にはお薦めです。
未来惑星ザルドス [DVD]
惑星ザルドスというタイトルだけではどのような映画か想像しずらい。これはスペースオペラ(宇宙活劇)のような冒険SF映画ではなく、古典的な哲学要素を含むサイエンスフィクションである。かつて雑誌「ぴあ」が主催した第一回SF映画フェスティバルで、上映予定だった2001年宇宙の旅の上映権がとれず、急遽代わりの上映として2001年に匹敵する名作として選んだのがこの「惑星ザルドス」だった。未来の地球を舞台とした不死と支配をテーマにした映画だが難解な点もありSFカルト映画の傑作といわれている。DVDになったことにより監督のコメントが入ったことは非常に嬉しい。映画を観ながらストーリー展開や撮影秘話が聞くことができる。SF映画でありながら非常に低予算で作成されたので当時の苦労話も興味深い。値段もかなり安く、レンタル屋でも見かけることがない作品なので是非、購入してご覧下さい。