逆説の日本史〈5〉中世動乱編 (小学館文庫)
歴史の授業が正確なただ一つの事実だと思ってました。教育の一部であり、よく吟味された結果だと考えていたからです。しかしその考えを見事に裏切る内容に驚きました。当時の人々の慣習、思考を判断材料に加えなければより正しいであろう事実を発見できないと訴えています。そして、理路整然と歴史の常識を否定しています。また、天皇の血統、源氏と平氏のルーツなどあまりお目にかからない事実についても書かれており、興味の尽きない内容です。
ただ、惜しむらくは繰り返し述べることが非常に多いことです。確かに繰り返すことで主張は伝わり易いですが、私は煩わしく感じます。内容に興味があるだけに大きなマイナスポイントです。
楊令伝 10 坡陀の章
正直、『水滸伝』から『楊令伝』に入ってからは物語の規模が拡がり過ぎ、展開を制御し切れなくなった感があるが、それだけ壮大な物語を描き切ったことに敬意を表したいです。
そして、『水滸伝』が初めて刊行された2000年以来、気力を活力を与え鼓舞し続けてくれたことに厚く熱く感謝したいです。
中尊寺千二百年の真実―義経、芭蕉、賢治…彼らを引き寄せた理由 (祥伝社黄金文庫)
世界遺産にも指定されそうな平泉の象徴「中尊寺」。
開闢から現在までの歴史、謎について、興味深く分析されています。
三代のミイラの秘密。四代泰衡の首級がなぜ、金色堂にあるか。
明治時代の大修理の際のエピソードなど、現在との文化遺産に対する考え方の変化
が伺えます。
NHK大河ドラマ 炎立つ 完全版 第壱集 [DVD]
放送当時は関係各方面から散々な評価を下された作品ですが、最近の大河ドラマ(特に「元禄繚乱」「利家とまつ」「新撰組!」「義経」あたり)と比べると大変良く出来ています。大河ドラマとしてではなく、木曜時代劇あたりの枠でやれば、もっと高い評価を得られたと思います。
本作の魅力は、主人公が大河ドラマの主人公らしからぬ事。第1部の主人公・経清は、中央政権に対し反乱を起こし、最後は刃こぼれした刀で昔の家来に殺される。という壮絶な最後を遂げ、第2部の主人公・清衡は、清濁を併せ持ち、出来るだけ自分の手を汚さず、身内や味方を出し抜くしたたかさで見事に藤原氏を再興します。
ただし、第1部第2部が面白いからと言って、第3部が面白いわけではありません。むしろつまらないので見ないほうがいいでしょう。