やわらかい生活 スペシャル・エディション [DVD] |
寺島しのぶさんの演技がとてもよかった。彼女はこういう役にとてもむいていますね。全てを失った女、疲れない人生を送ろうと蒲田で生活。そして、出逢う男たち。ゆるい生活と言いながらも、パソコンでのメールがあったり、出会い系あったりで、現代らしい設定だなと思いました。この生活にはあまりあこがれませんが、、。のんびり気分は楽しめました。 |
ばかもの |
絲山作品は何を表現しようとしているのだろうか?主人公は、地方の無名大学の授業をサボリ、スーパーのアルバイト先で逆ナンされた年上女のアパートに転がり込み、王将の餃子弁当を頬張り、ひたすらセックスに励むという自堕落な生活を送る。
絲山作品は、しばしばプロレタリア文学と称されるが、そうなのだろうか?ヒデは女に捨てられた後、アル中になり、会社をクビになりと人生を凄まじい勢いで転落していく。身から出た錆と言えばそれまでだが、ヒデには転落している感覚はない。気がついたら底に落ちていたのだ。 派遣切りや格差社会といった時代の閉塞感は確かにある。でも、絲山作品が描くのは、そんな社会の問題ではない。そこには、働くことにも心底興味がもてない、家庭をもつことにも関心がない、食べること、セックスをすることは気持ちが良いが、体の中に行き場のない思いが澱のように溜まってぶつけることができない、といった等身大の若者の閉塞感が実にリアルに描かれている。 そんな若者を温かい目で見守る人たちがいてエンディングも悪くない。幸福とは男女が精神的に理解し合って得られるものではなく、社会的欲望を放棄した男女が慎ましやかな生活の中で肉体的に結びつくことなのかと考えさせられる。間違いなく会心の作品です。 |
絲的サバイバル |
絲山作品はあっという間に読んでしまう。文章、うまいんですもの。
たった1人でキャンプ。静寂を楽しみ、一人の時間を楽しむ文学者のエッセイです。 |
沖で待つ (文春文庫) |
タイトル作品を含む短編が3つ。
すべての働くひとに、という帯に惹かれて買った。 どの作品も気持ちよく軽く、そして、何かこころにしみじみとひびく。 タイトル作、やはり会社で親しい同期というのは、会社の付き合い以上の存在なのだと思う。 すべてかなで書かれた「みなみのしまのぶんたろう」もおもしろい。 繰り返して2回読んだ。 これから社会に出て行く学生にもすすめたい。会社にはこんな世界もあります。と。 |