クラークの「遺作」ということで、長年のファンとしてはさっそく読まずにはいられませんでした。「最終定理」という重々しい
タイトルからして、きっとハードSFの大作なのだろうと期待もしました。
しかし読み始めてすぐ気がついたのはクラークの匂いよりもポールの匂いの方が明らかに強い作風です。それなりに読めたものの期待とはかなり違ったことは事実です。
また、軽い短編をいくつかつなぎ合わせたような不自然さがも気になるところです。はっきり言ってガッカリ・・。
とにかく面白い!私は理系の人間で幸いにもこの本の最後にある補講がすべて理解できます。そういう人には特にたまらない一冊だと思います。高校の数学の授業でいろいろ教える前に生徒に読ませれば良いのでは?と思いました。
高校生でも理解できる数式を証明するまでの世紀を超えた人々の努力、その一つ一つのピースがだんだんと埋まっていく様子、でも、もしそのピースの大元が間違っていたら…という不安、ちょっとした機転で論理がつながり視界が開けた瞬間の歓喜、それら全てがこの本に詰まってます。
久しぶりに読み終わるのがもったいないと思えた一冊です。数学の問題に関する書籍にも関わらず数式がほとんど出てこないのでヒューマンドラマとして誰にでも読めると思います。天才たちの情熱を感じ!て欲しいです。
現在は同じ著者の作品である「
暗号解読」を読んでいます。