平成22年9月に
大阪にてコンサートがあり初めて聞きました。声といいスタイルといいとても魅力的でした。もっと日本でコンサートしていただければ・・・と思っています。マリアッチ・アガベのCDは毎日聞いてます
良質なレビューが既にいくつか投稿されていますが、
どういうわけか、みなさんそろって点が辛い。
私など、初めて見た時からこの映画の魅力にとりつかれ、
エイゼンシュテイン作品の中でも一番のお気に入りになってるんですが…。
他のレビュアーの方も書いておられる通り、
この作品は、撮影途中で制作が中断され、そのまま宙に浮いていたものを、
エイゼンシュテインの死後三十年を経過してから、
撮影当時助監督であったグレゴリー・アレクサンドロフが、
アメリカに残されていたフィルムを新たに編集し、完成させたものです。
つまり、編集がエイゼンシュテイン本人の手によって行われていないわけで、
そこが、この作品の価値が一段低く見積もられる最大の原因となっているように思われます。
ですが、エイゼンシュテイン本人が編集していないからといって、この作品が果たしてそれほど悪いものでしょうか。
凝りに凝ったアングルの映像はどれもこれも、これぞエイゼンシュテイン!という特上の「画」となっていますし、
音楽もナレーションも、一度聴いたらしばらく余韻があとをひく、絶妙な効果をあげています。
また、短い物語数話のオムニバス形式の構成も、
牧歌的な幸福に満ちあふれたのどかな
メキシコが、
ヨーロッパ人の侵略によっていかに無残に破壊されていくかを、象徴的に描きつくして見事です。
特に、「
メキシコ万歳」と言えばこれと紹介される有名なエピソード。
正義感溢れる若い使用人が、残忍な領主によってなぶり殺しにされていく場面の映像の迫力は、ちょっと他に類を見ないもので、
この一場面を見るためだけにでも、このソフトを手に入れる値打ちがあるほどの素晴らしいものです。
要するに、エイゼンシュテイン自身が編集していないことの不都合さはたいして感じない。
この作品が本来持つべきであった魅力の半ば以上は、間違いなく表現し得ている、充実した仕事になっているということです。
未見の方は、どうか変な先入観を持たずにこの作品に接していただきたいと思います。
それが、この作品によって
メキシコの魅力にとりつかれた経験を持つ私からの切なる願いです。