アディアプトロン機械帝国に対抗するため人類が作った「ハイブリッド・チャイルド」は、機械と生物を融合させた特殊兵器。有機物・無機物のあらゆる特性を取り入れ変容する。あるとき実験中の「兵器」のひとつが自我を持ち逃亡、偶然出会ったヨナという少女に好意を抱く。一方「兵器」を追う軍部には800年の年月を逆行、若返りながら生きる「時間的奇形」の老人がいて・・・
短篇と中篇で構成された連作SF小説。「母」という概念を巡る、暴力的かつ破壊的かつ血腥い世界を、独特の世界観のなかで描いた作品。少女の体を無惨に破壊してしまうグロテスクさと狂気は、どことなく笙野頼子『二百回忌』や『母の発達』を髣髴させるが、文体がパワフルすぎて、腐りそうに熱っぽい作者の傷口が身近に感じられる笙野作品とは違って、『ハイブリッド・チャイルド』の傷口は、ガラスの中に閉じ込めたミニチュア世界のように遠い。それは、母と子の、永遠に続くであろうグロテスクな呪いを甘い痛みに変えてしまう、魔術的な距離で、なんとなく、この距離感こそが印象に残る作品。
この本にはさまざまな物語が納められており、それぞれに独特の世界が描かれている。 しかし、全体を振り返ってみれば、物語の底辺を流れる、宇宙の美しさ、生命の輝きといったものが感じられる。 読後は、日常の煩わしさが遠いものとなり、ふと、夜空にチカチカと控えめにまたたく星を見上げ、思いを馳せてしまう... そんな気分にさせてくれる。 作者のすばらしい描写によって紡がれるこの宇宙の物語は、読者を深遠なる宇宙の旅へと誘ってくれる。
この手のイメージアルバムは玉石混交と言うか どちらかと言うと、やっつけ仕事のハズレが多かった・・・。 が、この作品は難波弘之とセンス・オブ・ワンダーなので なんの心配もいりません。 まさに、待望のCD化。
ノスタルジックでリリカルな表題作。さわやかで切ないお話です。 その他の短編も、バラエティに富んでいる。SFファン以外の人に特に おすすめしたい一冊です。私はこれでSFにはまりました。
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