平田弘史の「血だるま剣法」をインドで出版して一攫千金を得ようとした顛末を描いた「インドへ馬鹿がやって来た」を08年に刊行、好評を博したものの、また仕事がなくなった(本人談)著者が、今度は「うどん屋」と「漫才」、そして自ら書いた「漫画」と他の漫画家の翻訳で一攫千金を得ようとインドへ向かった顛末を描いた作品。
前作はわからないが、本作はそれをネタに漫画を描こうとしてインドに向かった。二匹目のドジョウを狙ったと言ってしまえばそれまでだが、著者はとっくの間に還暦を過ぎた老人?、そのバイタリティには尊敬の念すら抱いてしまう。
前作から数年しか経っていないのに物価は2倍以上になり、インターネットや携
帯電話が(ある程度)普及していたインド。ニュース等では、インドのIT産業を中心とした経済成長が伝えられているが、この作品からもそれが伝わってくる。
とはいえ、インド人の気質が変わるわけではなく、2度目のインドも相変わらずトラブルばかり。
でも、著者も前回の経験を活かし、前回以上に飄々と対処している(ただ、一度だけ相手を殴るほど激高してしまったが)。そして、著者の飄々とした絵柄。この飄々としているところが、作品のおもしろさなのだと思う。
インドを経験した人は、二度と行きたくない人と思う人と、魅力に取りつかれ何度も行ってしまう人に分かれてしまうそうだが、著者は一体どちらの人なのだろうか。
本作には、著者がインドで出版した漫画「サイキール リクシャー ワーレ キ ドカーン」、書き下ろし短篇小説「ロクロウという名のインド人」、そして著者のインド行きを世話?し、漫画の翻訳も担当した女性(日本人)との対談が収録されているが、それを読むと、著者が自覚しているかどうかは別にしてインドにはまっているように思えた。