名手Wyntonがわずか22歳で録音したアルバム。兄のBranfordやRon Carterにオーケストラを従えたこのアルバムは、そりゃあまあシッポリとした落ち着きとゴージャス感が溢れるデキである。エリート音楽一家らしい育ちの良さがビシビシ伝わってくる一方で、彼の若さとテクニックにも関わらずこの新しさの無さは釈然としなかった。(選曲はD.EllingtonやJ.Lewisなどのスタンダードが中心。)これが保守本流の音なんだろうけど、どうもこの一家というのは地盤・カバン・看板をフルに使って
ジャズを歌舞伎にしちゃいがちなところがあるのではなかろうか。
ジャズにお洒落感やロマンスを求めるライト・リスナー、もしくはスタンダードな様式美を吟味できる通な人向けのアルバムだと思う。未だこの音楽ジャンルに進化のスリルを求める僕は星3つで止める。(シンフォニーものの甘ったるさを極力抑えた手腕は僕も認めるんですけどね。)所々、ハっとする箇所がある点がこれまた惜しい。
1988年に発表された、アイルランドのロック・バンド《ホットハウス・フラワーズ》のデビュー・アルバムです。音楽的には、アイルランド民謡、カントリー、フォーク、ブルース、ゴスペルなどの、いわゆるルーツ・ミュージックの影響を受けた、《ルーツ・ロック》の傑作に仕上がっています。中でも、《ゴスペル》の影響が最も強く、全体にみなぎる
スピリチュアル(?)な《高揚感》が素晴らしいです。聴いていると、心が暖かくてなって来る、超オススメの《隠れ名盤》です。
(追記:実は、このバンドはデビュー後すぐに、初来日ライヴをしました。私も見に行きました。演奏のあまりの上手さに感動しました。あれはたしか、1988年の
渋谷公会堂だったかな。あれから22年です。あの頃よりも、さらにパワー・アップした自分が、ちょっと嬉しいです。)
前作『Born』では打ち込みを導入するなど、以前と違ったポップな一面が見られたが、今作ではドラマーが新加入したこともあってか、それ以前のソウル色が良い感じで戻り、ポップさとのバランスが抜群。
従来から持つ疾走感がいいT-1,2で始まり、新機軸のT-3、前作からの流れでいまどきの音も取り入れたT-4。
他もいつも通りソウルフルな佳曲揃い。捨て曲など一切ない。
肩の力が抜けた感じのフォークロックT-10もいい感じ。
ラストを飾るバリバリのアイリッシュトラッド(ライブ録音)で、抜群の演奏力と懐の深さを見せ付ける。
なぜこの名盤が、日本で国内盤として発売されないのだろう??
ここにはハッタリも何もない、まさに「いい音楽」が詰め込まれているぞ。