本書を読んで先ず感じたのは、すごく丁寧にオーソドックスな作品を作っているんだなぁということ。
系譜としては、最近では「梅ちゃん先生」に近い。つまりが、架空の若い女性を主人公に描く過去の時代で、複数の家族を中心に据えて、主人公は職業を持っていて、演じるのはオーディションなしの実力・実績を既に持つ若手女優。同様の作風で主人公が実在の方をモデルとしているという違いがあるのが「ゲゲゲの女房」「
カーネーション」。こう並べると、「あまちゃん」が随分と逆目を張って成功したことに気付く。
主役を演じる杏は、自然体でしかし強い思いを感じるシッカリしたコメントをしている。主要な登場人物も、安定感のある役者さんが分かりやすい人物像をキチンと演じこんでいる風がコメントから感じられる。
あと、戦前の日本をキチンと映像化することがCG全盛の中でも如何に大変なのかということ、消えモノとも云われる料理をメインに扱うことの難しさとか、NHKという老舗の力にすごく感心させられた。