私には音楽的な難しいことは分かりません。
でも、坂本龍一さんの作られた曲を耳にする度に、素人ながら思います。
「メロディーラインが綺麗すぎて毒々しい…」と。
「永遠の仔」の主題歌になったこの曲は、とても美しくて
繊細で、精密に作られていて…。
下に落としたら
パリンと割れてしまうガラスのような危うさを感じさせます。
この曲を聴くと無性に泣きたくなるのは「永遠の仔」のストーリーを思い出すからというだけではなく、
「哀しすぎるほど綺麗」なこの曲に含まれた「毒」が琴線を揺らすからかもしれません。
放送終了からDVDが販売されるまで、かなりの間隔があります。調べてみれば、なるほど放送時の視聴率は平均10%前後と商業的にはあまり成功したとは言えない作品のようです。ヘビーなストーリーに主演はもちろん、脇役のベテラン出演者、3人の子役の重厚な演技がさらにヘビーな内容を強調します。好きな役者さんが、パッケージに4人並んでいるのでチョイスした作品なのですが、いい意味で裏切られて衝撃を受けました、民放のドラマでこんな作品はもう今後は期待できないんじゃないでしょうか?
このドラマを見て、
中谷美紀が綺麗だとか、渡部、椎名がカッコイイとか、
石田ゆり子の濡れ場を見れてよかったとかの感想しか残らない人は、幼年期から思春期にかけて恵まれた環境で育った人なんでしょうね。
これはもちろんドラマで流れていた曲もありますが、アウトテイクも入っています。しかし、それも含め「永遠の仔」という作品を音楽で十分に表現しきっているのではないかと思います。かえってドラマのそれより雄弁に、忠実に描いているかもしれません。
主人公たちに秘められた過去と苦悩、それを音で表現しているため、ここに収められているトラックは全て哀しげでやさしい。
最近のエレクトロニカといったジャンルの音楽を聴いている人にも十分納得できる音楽です。
個人的にこころのベストテンに入るほどの出来です。