フランス現代思想の作家、そうそうたるメンバーでこの本は構成させています。とかく
フランスの思想はわかりづらいのですが、この本にはキーワードがついていて理解しやすいです。エスプリの効いた
フランス思想を理解してみて下さい
第1章では
フランス・ミュージカル史を解り易く解説し、第2章で
フランスのオリジナル・ミュージカル作品の解説が述べられる。
来日公演を果たした「十戒」「ロミオ&ジュリエット」、来日が決定している「ノートルダム・ド・
パリ」はもとより、今では“
ロンドン・ミュージカル”となってしまった「レ・ミゼラブル」の、
フランス語から
英語版への改編などについても充実した記載が成されている。
“グランド・オペラ”がベースとなってロック・オペラ、そしてスペクタクル・ミュージカルへと発展した様が、簡潔でありながら深い内容の文章でとてもよく理解できる。
日本はミュージカル大国の仲間入りをしたと言われて久しいが、未だに上演の中心は海外作品の翻訳であり、
劇団四季や
宝塚などでオリジナル・ミュージカルは作られるものの、とても世界に視野を広げて作られたものとは言い難い。
また、海外作品を“そのまま”導入する四季、安い製作費で量産する東宝、
宝塚など、そもそも舞台制作に対する土壌が日本と異なることは大きい。
この本から、短期間にこれだけのオリジナル・ミュージカルを制作・上演した
フランスは、日本に大きく水を開けたと感じざるを得ない。
巻末の「
フランス・ミュージカル一覧」、ミュージカルナンバーの仏語・日本語表記、「レ・ミゼラブル」の1980年
フランス・オリジナル版と、改編された1985年
ロンドン版の曲目対比表なども、とても便利。
それにしても、「エリザベート読本」といい、渡辺氏の著作の装丁デザインはもう少し何とかならないものだろうか・・・。