イチロー目当てでこのDVDを購入したのですが、イチロー本人だけではなく、マリナーズ全体の当時の快進撃を垣間見ることができます。また、当時
メジャーでプレイしていた選手(マック鈴木など)の現地での評判などもみることができて、なかなか面白いつくりになっています。ただ、残念なのは、プログラムの構成が強引で、いいところどりをしようとして、かなり広く浅くのつくりになっています。また、ナレーションに当時の説明を含めていただければかなり良いものになったのではないでしょうか。
私もアルコール依存者で、今年2月まで3カ月間、久里浜医療センターに入院していました。実体験はうなずける内容が多く、ことに西原理恵子さんの家族の気持ちは、深い反省とともに拝読致しました。また、専門医療施設退院後の社会復帰の困難、回復までの道のり(この病気に完治はありません。一生、アルコールを飲まずに、社会と折り合いを付けて復帰していく、人間性を取り戻していくしかないのです)・・・たいへん勉強になりました。
注釈が細かく付いているのですが、時にわずらわしく、重複などもあり、校正が行き届いていないのが残念でした。第2刷から改訂をお願いします。
1970〜80年代にかけてギャグ、SF不条理漫画を発表して一世を風靡した漫画家・
吾妻ひでお!
その後低迷して一時は「消えたマンガ家」とまで言われた吾妻氏だが、2005年に発表して発売とともに各メディアで話題となり、第34回日本漫画家協会賞大賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門を受賞した名作漫画『
失踪日記』!
本書はそれから8年後に出版された待望の『失踪日記』の続編である(その間に刊行された詐欺まがいの続編を何度費やしたか…)。
時代が昭和から平成に代わる頃にある日突然行方をくらました著者の当時の行動(生活)を漫画にした前作『失踪日記』。今回は前作の後半にも描かれていたアルコール依存症に陥り、強制入院した病棟生活を描いた内容となっています。
本来なら暗くなりそうなテーマですが、そこは前作同様、著者・吾妻氏の描く作品カラーらしく笑える内容になっているのが本作の特徴です。
お酒を嗜まない人にとってアルコール依存症がどのようなモノかは分かりませんが、著者自身の体験を通して分かりやすく描かれており(あくまでも著者自身を通した一例である)、過度のアルコール摂取によって幻覚や幻聴が聞こえたり、夜中に奇声を発したり、自殺念慮が出て未遂が数十回などかなりボロボロになるまで追い詰められていくのがよく分かります(前作もそうでしたが漫画自体は深刻に描かれていないので家族や関係者の気苦労は想像を絶する)。
その後の入院してからの生活が描かれており、前作にも描かれていた病棟生活で最大の謎だった御木本女史、他にも同室で短気でケンカっぱやいナベさん、たかり屋で寸借詐欺など問題の多い浅野も前作に引き続き登場し、他にも個性豊かな患者の面々が登場します。
病棟の教育プログラムや生活システムについても分かりやすく描かれており、患者もさることながら先生やナースたちもそれぞれ特徴があって面白いです。前作では1頁4段でしたが本作では3段コマで描かれています。
読後感としては、作者を通して疑似入院体験の感覚を味わえるが、正直入院したいとは思わないし、面白さでいえば前作の失踪時代(『夜を歩く』)の挿話が私的にはよかったし、ゴミを漁って食糧を調達する描写や工夫を凝らして調理する路上生活の挿話など、その面白さには及ばなかったものの本作は本作でのよさが描かれていたと思います(何よりも本来なら重いテーマに対して深刻に描かれていないところが前作同様本書の魅力でもあります)。
できれば著者には、本作のような感覚で(取材を通して)薬物依存をテーマに描いて欲しいと思います。おそらく傑作が生まれそうな気がします。